2013年11月19日火曜日

本籍の表し方

司法書士の岡川です。

日本人には皆、住所とは別に「本籍」があります。

「住所」と「本籍」が別物であることは、多くの方がご存じだと思いますが、「本籍」は、住んでいる場所と一致する必要はなく、自分の好きなところに定めることができるものです。
つまり、現行法においては、自分が本籍と定めた場所(生まれた時は、親の本籍)が本籍なので、「本籍がどこにあるのか」というのは全く重要ではありません。
どこでもいいので、とにかく1箇所定まっていればそれで十分なのです。

ただ、昔は本籍と住所とは同じだったので、自分や親や祖父母の転籍の履歴を辿っていけば、ご先祖様の住んでいた場所を知ることができたりします。

本籍は、皇居の場所だろうが、首相官邸の場所だろうが、沖ノ鳥島だろうが、日本国内ならどこでも任意に定めることができます。
もっとも、どの市町村に属するか確定していないような場所(有名なところでいえば、富士山の頂上など)に本籍を置くことはできません。
「その場所」を表す方法がないからですね。


任意に決められる以上、もちろん「自分が今住んでいる場所」を本籍にすることも構いません。
ただし、自分の住所と本籍を一致させる場合、少し注意しなければなりません。

本籍の表示の仕方には決まりがあります。

例えばあなたの住んでいる家の住居表示が「ほげほげ町三丁目4番5号」だったとします。
そして、この家の建っている土地の地番は、ほげほげ町三丁目の「395番」であったとします。

では、本籍を住所地にするには、どう定めるべきでしょうか。

正解は「ほげほげ町三丁目395番地」か「ほげほげ町4番」のどちらかです。


本籍は、地番で表示するか、住居表示の「○番」という部分(街区符号)までで表示しなければなりません。
住居表示で場所を特定する場合、街区符号より細かい「○号」(住居番号)をつけることはできません。

したがって、「ほげほげ町三丁目4番5号」では受け付けてくれないのです。

「ほげほげ町三丁目4番地5」なら受け付けてくれますが、それは地番が「4番5」の土地の場所なので、赤の他人の家だと思われます。
地番と住居表示の数字は基本的に全く別物だからです(詳しくはこちら→「地番と住所表示が別々にある理由」)。


もちろん、地番がそのまま住所として使われている地域に住んでいる場合、例えばあなたの住所が「ふがふが町四丁目5番地6」であるなら、本籍もそのまま「ふがふが町四丁目5番地6」にしておけば、住所と本籍が一致します。


ちなみに、自分の本籍を知りたい方は、住民票に書いてあります。
ただ、普通に住民票を取ると省略される場合もあるので、市役所で住民票の請求書を書くときは注意しましょう。

では、今日はこの辺で。

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