2014年2月14日金曜日

全聾でも作曲家でもない人の著作権料

司法書士の岡川です。

ソチオリンピックの話題で陰に隠れていますが、まだまだ裏で地味に進行中の「全聾でも音楽家でもなかった人」のお話。

こんな記事がありました。


佐村河内氏、著作権料ボロ儲け!億超え(日刊スポーツ)

ゴーストライター問題の渦中にあり、現在の「全聾(ろう)」状態もウソだと告白した作曲家佐村河内(さむらごうち)守氏(50)が、これまで得た著作権料の返還を免れる方向であることが13日、分かった。
(中略)
音楽の著作権を管理する日本音楽著作権協会(JASRAC)広報担当者によると、(1)新垣氏と合意がある(2)18年の長期間にわたっていることを考慮し、「JASRACが過去にさかのぼって佐村河内氏に支払った著作権料の返還を求める可能性は低い」という。

「まあ、そりゃそうでしょうよ」としか言いようがないと思うのですが・・・。


著作権法上、「著作者」と「著作権者」は別物です。

「著作者」は、基本的には実際に著作物を作った人のことを指しますので、これは動かせるものではありません。
今回の件では、新垣氏が著作者ですね。
著作者には「著作者人格権」という、著作権(著作財産権)とは別の権利が帰属します。

基本的には、著作者=著作権者なので、著作者は著作者人格権だけでなく著作権も有することになるのですが、財産権である著作権は、自由に譲渡することが可能です。
著作権が譲渡されると、著作者と著作権者が分離することになります。

今回の件では、ゴーストライティング契約(のような合意)がなされて、著作権は著作者である新垣氏から佐村河内氏に譲渡されていたと考えることができます。
そのうえで、著作権者として佐村河内氏からJASRACに著作権信託契約がなされていたと考えられます。


そうすると、JASRACは、正当に著作権者(not著作者)に著作権料を支払っていたことになるので、返還を求める理由がないわけです。

ボロ儲けなのも、実際に楽曲が売れたのだから当然です。
新垣氏に儲けがないのも、佐村河内氏との話ででそういう合意をして楽曲を提供していたのであれば、これも当然の話です。


もっとも、佐村河内氏には、これから怒涛の損害賠償請求が待っていると思われ、そうなればボロ儲けしたお金で賠償して回ることになるでしょう。


まあとにかく、結論的には高橋選手がんばれということです。

では、今日はこの辺で。

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