2014年2月18日火曜日

交通事故による損害

司法書士の岡川です。

交通事故に限らず、不法行為があった場合、被害者は加害者に損害賠償請求をすることができます。
実際には、加害行為によって生じた「損害」を金銭的に評価して、賠償金の支払いを求めることになります。

法律上「損害とは何か」という問いは、実は難しい問題があります。
伝統的には、「加害行為がなかった場合の被害者の財産状態」と「現在の被害者の財産状態」の差額が損害であると考えられています(差額説)。
例えば、交通事故で骨折して病院に行くことになれば、「病院に行かなかった場合の財産」と「病院に行ったことで減少した財産」に差が出ますので、その差額(具体的には、病院に支払った費用)が「損害」だということです。
また、「会社を休んで病院に行ったら、その分の給料を減らされた」となれば、やはり財産状態に差が生じていますので、その差額は損害です。

もっとも、全てを「差額」だけで説明するのは困難なこともあります。
例えば、慰謝料なんかは、何と何の差額なのか説明が難しいところです。
そこで、不利益な事実そのもの(例えば、骨折という事実)を損害と考える「損害事実説」という考え方もあります。
実務上は、基本的には差額説をベースに、損害事実説的な考え方も意識されている・・・といったところでしょうか。


さて、そんな「損害」ですが、細かく見ていけば色々なものがあります。


「病院に行くことになった」だけでも、医者に払う治療費、病院までの交通費、会社を休んだら休業損害、ギブスを付けたらギブス代、など、損害は多岐にわたります。

そうすると、実際に、どういうものが「損害」として認められるのか、また、それらの損害の分類方法について、次回から紹介していこうと思います。


では、今日はこの辺で。

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交通事故の損害シリーズ
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2.交通事故による損害の分類
3.交通事故の損害項目
4.治療関係費(交通事故の損害各論)
5.入通院の費用(交通事故の損害各論)
6.葬儀関係費(交通事故の損害各論)
7.休業損害(交通事故の損害各論)
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9.逸失利益(交通事故の損害各論) 

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