2014年10月31日金曜日

失踪宣告

司法書士の岡川です。

前回書いたように、会社は、12年間、何の登記もせずに放っておくと、職権で解散したことにされてしまう。
これを「みなし解散」といいます。

解散とは、会社の消滅(厳密には、そのあとに清算をしないといけませんが)ですが、人に譬えると「死んだものとして扱われる」ということです。

死んだものとして扱う制度は、会社だけでなく、個人にも存在します。

それが「失踪宣告」の制度です。
これは、生死不明となった人について、一定期間の経過後、家庭裁判所の審判により死んだものとして扱う制度です。


長い間行方不明になっていたり、大きな事故に巻き込まれたが死体が確認できなかったりといった事態は、しばしば起こります。
そんな場合も、誰も死亡を確認していない(医者の診断書もない)以上は、基本的には生きているものとして扱われます。

しかし、それではやはり不都合なことは起こります。
その人の財産は何らかの方法で誰かが代わりに管理しないといけないし、家族が自由に使用収益したり処分することもできません。
生きてるのか死んでるのかもわからない、どこにいるのかも帰ってくるのかもわからない人のために、財産を維持管理し続けなければならない。
また、配偶者は、再婚することもできません(生きているとしたら、重婚になってしまう)。

そこで、家庭裁判所に申し立てて、失踪宣告がなされると、従来の住所を中心とする法律関係においては、その人は死んだものとして扱われることになります。
つまり、戸籍上・住民票上は、死亡したことになります。

失踪宣告の要件は、生死不明が7年続くか、戦争や事故、災害などに巻き込まれて1年生死不明になるか、のどちらかです。
前者を普通失踪、後者を特別失踪といいます。

普通失踪の場合は、失踪から7年経過後、特別失踪の場合は、事故や災害のときに死亡したものとみなされます。


もちろん、あくまで従来の住所地での関係でのみ死亡と扱われるということであって、実際にどこかで生きていたすれば、その人の権利能力(法律行為の主体となる資格)が絶対的に消滅するわけではありません。
例えば失踪宣告を受けた人がどこかで買い物をしても、それはそれで有効に契約が成立します。

従来の住所地においては、相続を開始させて残された財産を相続人に分配したり、配偶者が再婚したりできるようになる、という効果が生じます。
もしその人が誰かの相続人になっていたとすれば、死亡したものとみなされる時期によっては(被相続人より先に死亡したものとみなされる場合)、相続人から除くことが可能です。


長い間行方不明の家族がいて、財産の管理や相続関係に問題が生じている場合は、失踪宣告も検討してみて下さい。

では、今日はこの辺で。

こちらも参考→「不在者財産管理人

2014年10月30日木曜日

休眠会社の整理に気を付けましょう

司法書士の岡川です。

会社勤めの方には全く関係ないことですが、会社経営者(特に中小企業の経営者)の皆さんには注意していただきたいことがあります。

会社は、その実体をきちんと公示(広く一般に情報を開示すること)するため、商号や所在地、目的、役員構成などが登記がされています。
会社の登記は、個人でいう戸籍と住民票を合わせたようなものです。

この会社の登記は、内容(登記事項)に変更があればその都度「変更登記」をしなければなりません。
登記をするのは登記官ですが、会社の側から、法務局に対して「変更がありましたので登記してください」と申請しなければ登記をしてくれません。

そして、会社の登記は、取引の安全のために(取引先に迷惑をかけないために)存在するので、この登記申請は義務となっています。
不動産の移転登記などは、放置していても自分が不利益を受けるだけなので、登記申請は義務ではないのですが、会社の登記は義務であり、登記懈怠(サボること)には過料の制裁が待ち受けています。


「でも、そうそう登記事項が変わることなんかないでしょ?」

そう思う方もいるかもしれません。

確かに、会社の登記事項のうち、商号や所在地がコロコロ変わることはあまりありませんが、例えば役員(取締役や代表取締役)には任期があります。
現行法上、株式会社の取締役の任期は、最長でも10年です。
定款によっては、2年とか4年とかになっている会社も少なくありません。
中小企業の中には、


「うちの会社は創業以来、俺がずっと取締役で、取締役が変わったことなんかない」

という会社も多いでしょうが、任期が満了するごとに再任して同じ人が取締役になっているのだとしても、その場合は重任登記をする必要があります。
法的には、再任されても「退任+就任」しているので、たとえ同じ人でもそこで変更は生じているのです。

「いや、そもそも株主総会開いてないし、再任も何もない」という会社があれば、それはそれで「選任懈怠」で過料の対象となります。
取締役の任期が満了すれば、たとえ同じ人を選ぶのであっても、選任手続は必ずしなければならないのです。


となると、どんな会社であっても、10年以上何も登記がされないということは、まずあり得ないことになります。
そんな会社があれば、それはもう存在自体が疑わしいということになります。

そこで、会社法472条では、12年間何の登記もされていない会社を「休眠会社」としています。


この休眠会社について、法務大臣が官報公告と個別の通知をし、それに対する反応(「まだ会社やってます」という届出)がなければ、登記官は、職権で解散登記をすることができます。
これを「みなし解散登記」といいます。


この一連の作業を「休眠会社の整理」というのですが、今年も行われることになっています(前回は12年前でしたので次回は12年後かな?)。

対象の会社には、そろそろ通知が来ます。
それを無視すると、会社が解散してしまいます(3年以内にきちんと手続きをすれば復帰は可能ですが)。

通知が来たときに「法務局が何ぼのもんじゃーい」と無視してると、来年の1月に登記官が強制的に「解散」の登記をします。

また、そもそも何らかの理由で通知が届かない(所在地を移転したのにその登記すらしてないとか)場合であっても、手続は進みます。
もし心当たりがある会社は、今のうちに役員変更登記を申請しておきましょう。


では、今日はこの辺で。

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2014年10月29日水曜日

権限と権原


司法書士の岡川です。

「けんげん」という言葉を聞いて、漢字でどう書きますか?

おそらく、多くの人が「権限」と書くでしょう。
漢字テストでも「権限」と書かないと、たぶん×をくらうと思います。

しかし、法律用語の「けんげん」には2種類あり、「権限」のほかに「権原」という語もあります。
両者は、別の概念なので、きちんと使い分ける必要があります。

「権限」というのは、(他人のために)何かをすることができる範囲のことをいいます。
代理人の「権限」とは、その代理人がどこまでやってもよいかを示します。



例えば、他人に契約締結の「権限」を与えたり、代理人が与えられた「権限」の範囲外の行為をして問題になったりします。


これに対し、「権原」というのは、何らかの行為を正当化する法律上の原因をいいます。
例えば、ある人が建物を使用収益する場合、その建物の所有権や賃借権等がその「権原」ということになります。


このように、同音異義語の「けんげん」ですが、口頭で相手に伝えるときは、権原の方を「けんばら」と言うこともあります。

では、今日はこの辺で。

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2014年10月28日火曜日

特別受益の話

司法書士の岡川です。

遺産分割は、基本的には、被相続人の死亡時の財産(相続財産)を相続分に応じて分割するものです。
例えば、死亡したときに1000万円残っていて、相続人が2人の子(AとB)だとすれば、500万円ずつ相続するというのが原則です。

しかし、被相続人が死ぬ前に、相続人のうちの1人(A)に対して、家とか車を買う資金とか生活費とかで何やかんやと既に1000万円くらい贈与していたとすれば、この場合にもAとBに遺産を500万円ずつ分配すると、どうも不公平な感じもします。
あるいは、2000万円残っていたとしても、「1000万円をAに遺贈する」という遺言が残されていた場合、Aにまず1000万円遺贈し、その残りを500万円ずつ法定相続分で分けるというのもおかしな話です。

こういった場合に、相続人間の利益を調整する制度として「特別受益」というものがあります。

特別受益とは、「共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなす」という制度です。

死亡時の財産に生前に贈与した分も合算した総額を相続財産として、各共同相続人の相続分を計算するというわけです。
これを「持戻し」といいます。

上記の例(生前に贈与していた例)の場合、生前に1000万円をAに贈与しているわけですが、死亡時に残っている1000万円と合算して2000万円を相続財産とみなし、これを法定相続分で分けた、1000万円ずつが各共同相続人の取り分ということになります。
ここで、Aは既に1000万円を受け取っていますので、結論的にはBが死亡時の1000万円を取得するということになります。

もしAが生前に受け取っていた特別受益が200万円だった場合は、1200万円が相続財産なので、各共同相続人の取り分は600万円。
Aは既に受け取った200万円を引いた400万円を取得し、Bは600万円を取得します。

逆に、Aが生前に3000万円くらい受け取っていたような場合、相続財産とみなされる総額が4000万になりますが、各共同相続人の相続分は2000万円ずつだからといって、AはBに1000万円返さなければいけないかというとそうでもなく、Bが死亡時に残った1000万円取得して終わりです。


こういう制度があるので、例えば被相続人とBの仲が悪くて、そもそもAに多めに財産を残したいという意図で生前に贈与していたとしても、特別受益の持戻しによって調整されることになります。

自動的に調整されるのを防ぐには、被相続人が遺言を書けばよいのです。
つまり、「生前に贈与した分はあるけど、それはそれとして、残った遺産は500万円ずつ分けなさい」という内容の遺言書があれば、遺言の内容が優先しますので、その通りになります。
これを「持戻しの免除」といいます。
ただし、この場合も他方の相続人の遺留分を侵害することはできません。


遺産分割というのは、色々な要素を考慮しないといけません。
ややこしいですね。

では、今日はこの辺で。

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2014年10月24日金曜日

出資と増資の違い

司法書士の岡川です。

こんな記事がありました。

「出資」と「増資」その違いとは?

ここでは、このように説明されています。

出資:創業期の資金を確保するため、株を発行して資本金を集める
増資:成長期の資金を確保するため、新株を発行して資本金を増やす


これは間違いですね。

「厳密にいうと間違い」とかいうレベルでなく、明らかに間違い。

というのも出資と増資の違いは、創業期か成長期かの違いではなくて、その用語が示している中身が全く違うからです。

話をわかり易くするために、会社の話に限定しますが、出資というのは、主に資本金に充てるために会社に資金を提供することをいいます。
株式会社の場合、出資と引き換えにその会社の株式を取得することになり、出資者=会社構成員=株主となります。
持分会社の場合は、「社員」(会社員ではなく、会社構成員)となります。

したがって、創業期に限らず、会社成立後に新たに株式を発行する場合に対価として資金を払い込むのも出資です。

これに対し、増資というのは、一般的には出資された金銭等をもとに「資本金」を増額することをいいます。
「資本金」というのは、会社会計の「計算上の値」ですので、出資をしたからといって全額資本金になるわけでもなければ、資本金が増額したからといって必ずしも出資されたとは限りません。

「企業が新たな株式を発行するなどして、資本金を増やす」という増資の説明は間違ってはいないのですが、それと対比された出資の説明が間違いです。
会社設立時の最初の資本金を形成するために資金を提供するのは、確かに出資です。
しかしそれだけではなく、増資のために資金を提供するのも出資なのです。
出資金をもとに資本金を増やせば、増資ということになります。



ざっくりいえば、

資金を提供するのが出資で、出資されたお金で資本金の額を増やすのが増資

ということになります。


前掲の記事で、増資と融資の違いも解説されています。
大まかには間違っていませんが、「増資は、将来的な利益を期待された資金提供であるという意味で出資と共通する部分が多い」という部分はおかしい(どうおかしいかは上記のとおりです)ので、そこは読み飛ばしておきましょう。

では、今日はこの辺で。


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2014年10月22日水曜日

「家事」の意味

司法書士の岡川です。

「家事」といえば、皆さんは何を思い浮かべますか?

炊事、洗濯、掃除・・・。

それらも「家事」ですが、法律問題においても「家事」という言葉があります。

「民事事件」「刑事事件」のほかに「家事事件」という言葉を聞いたことはありませんか?
ここでの「家事」は、家の中の仕事の意味ではありません。

家事事件とは、家事事件手続法が規定している、家事審判や家事調停に関する事件のことをいいます。
具体的には、親族関係や相続、扶養、後見といった分野の事件です。
国との対立ではなく、個人の(私法上の)問題なので、民事事件の一種(家族法分野)ともいえますが、契約関係とか不法行為とかとは少し異なります。

離婚調停とか、遺産分割調停とか、後見開始の申立てとか、相続財産管理人選任の申立てとか、家事事件の多くは家庭裁判所で取り扱われています。
家事事件を取り扱うために作られたのが家庭裁判所・・・といった方が正確ですかね。
親子関係の有無とか事理面識能力の程度とか相続人の存否とかを判断する家事事件は、簡易裁判所とか地方裁判所で取り扱われる一般民事事件とは少し毛色が違うため、特別な裁判所が存在するのです。
もちろん、特別な裁判所といっても、扱う事件や手続に特徴があるというだけで、一般の司法システムから外れているわけではありません。
家庭裁判所の判断に不服があれば、高等裁判所に上訴することができますし、最終的に最高裁判所まで行くこともできます。


家事事件では、遺産分割調停のように金銭の問題が絡んでいる手続もありますが、その場合も法律や契約の解釈で白黒つけるというより、相続人同士の話し合いで解決を図ったり、離婚による財産分与のように「一切の事情を考慮」して決めたりと、やはり一般民事事件とは少し異なります。

裁判所に持ち込まれる事件についても、当事者の考えが重視されるため、代理人同士で法律論争をするというより、基本的には本人が裁判所に足を運んで話をすることになります(もちろん、問題が複雑だったり深刻だったりすれば、弁護士を代理人にして争われます。芸能人の離婚裁判とか)。


ついでなので、関連して「人事」という用語もあります。

会社内で誰を採用するだとか、どこに配属するだとか、どういう役職に就けるだとか、そういう問題・・・は、確かに人事ですが、それとは別に「人事訴訟」というものがあります。

「人事訴訟」というのは、そういう会社の人事に関する訴訟ではなくて、身分関係の形成や存否の確認を目的とする訴えに係る訴訟です。
親子関係とか婚姻関係といった身分関係のことを指して「人事」というわけですね。

なので、「人事に関する訴え」といっても、「降格させられた人事は不当だ!」とかいって会社を訴えるのは人事訴訟ではありません。
それはただの民事訴訟です。

昔は人事調停というのもあったのですが、今でいう家事調停ですね。


というわけで、民事と刑事に加えて家事と人事という用語も覚えておくと、何かの役に立つかもしれません。
具体的に何の役に立つかは、ちょっと思いつきません。


では、今日はこの辺で。

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2014年10月20日月曜日

成文法と不文法

司法書士の岡川です。

法の存在形式のことを「法源」といいます。
法源はいろんな分類ができますが、大きく分けて、「成文法」と「不文法」に分けることができます。

成文法とは、法が文書の形で存在するものです。
国や地方公共団体等において立法権限を有する機関が、一定の手続きを経て制定する法なので「制定法」ともいいます。

典型的には、国会で制定される「法律」ですね。

権限を有する機関というのは、日本において中心的なものは国会ですが、政令や省令のように行政機関が一定の範囲内で立法することもあります(これを行政立法といいます)。
また、地方公共団体の議会は条例を制定することができます。

成文法(制定法)の形式については、どのようなものがあるのかは過去に記事にしていますので、そちらをご覧ください(参照→「色々な法形式」)。

これに対し、文書の形で制定されない法を「不文法」といいます。
慣習法や判例法がこれにあたります。


日本は、重要な法(憲法や法律)が成文法(制定法)の形で存在します。

日本のように、成文法が法体系の中心的な役割を果たしているシステムを、「成文法主義」(「制定法主義」)といいます。
日本だけでなく、ドイツやフランスといったヨーロッパの大陸側の国の法体系(「大陸法」といいます)や、その法体系を引き継いだ国では成文法主義が採られています。
そもそも日本は明治時代にドイツやフランスの法体系を輸入しているので、そうなっているわけです(ちなみに、法体系を輸入することを「継受」といいます)。

他方で、不文法(特に判例法)を中心に据える法体系を「不文法主義」(「判例法主義」)といいます。
イギリスやアメリカで発展した法体系(「英米法」といいます)の国では、判例法主義が採られています。


ただし、成文法主義といっても不文法が法源として認められないというものでもない(例えば、日本でも私法上は慣習法が認められている)し、逆に不文法主義の国でも多くの成文法が制定されています。
あくまでも「どちらを中心とする体系か」によって決まります。


両者の違いが大きく表れるのが、「罪刑法定主義」という考え方です。
日本を含む大陸法系の国々では、刑罰法規は予め成文法(特に「法律」)の形で制定しなければならない(派生原理の「法律主義」)と考えられています。
ところが、不文法主義の国(英米法の国)では、刑法の法源としても不文法が認められているのです(もっとも、事後法の禁止という考え方は英米法にも存在します)。


社会は、「文字で書かれたルール」だけで回っているのではないのですね。

では、今日はこの辺で。

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2014年10月17日金曜日

ことばの意味を大切に

司法書士の岡川です。

法律を学んだり、法律実務に携わる場合、「ことば」にこだわらなければなりません。
自然科学の分野と違い、法律というのは、人が「ことば」によって作り出したものであり、「ことば」によって運用されるものです。
自然科学の実験をするのに、数値がどんぶり勘定ではいけないように、法律を扱うのにひとつひとつの「ことば」を蔑ろにすることはできません。

一文字でも違えば全く意味が変わってくることもあります(例えば、「役員」と「役員等」では、そこに含まれる対象が違います)。
同音異義語もたくさんあります(例えば、「ほさにん」には、「補佐人」と「保佐人」があり、両者はまったく別)。
また、同じ単語でも、法律によって意味が違うこともあります。
例えば、会社法でいう「役員」と独占禁止法でいう「役員」では、そこに含まれる対象が違います(詳しくは「株式会社の役員」参照)。


法律の条文に出てくる単語が実際に何を指すのかわからなければ、それを現実の事件に当てはめることはできませんし、誰かと議論をする際も、定義をしっかりと確定させて相手と共有しておかなければ、まともな議論になりません。

法律をある程度学んだ人同士では、それなりに共通認識が出来上がっているものですが、例えば、一般の方と話をする場合(あるいは、このブログに書く場合も含まれるかもしれません)、やはり「ことば」を選ばなければいけません。


ところで、いわゆる「法律用語」の中にも、それが「日常用語として存在しないもの」もあれば、「日常用語としても存在するが、辞書的な意味とは異なる意味をもつもの」も存在します。

「社員」なんかは、後者の例でしょう。
会社勤めをしているサラリーマンの方は、その会社の「社員」だと思っているでしょうが、法律上は、おそらく「社員」ではありません。
逆に、私は会社勤めをしていませんが、複数の法人の社員です。
(「社員」の意味については、「社団法人と財団法人」を参照)


法律というのは、人が社会生活をおくる以上、望むと望まざるとに拘らず、必ず何かしら関わってくるものなので、「法律用語は専門家だけが知っていればよい」というものでもありません
「専門家はわざと難しい法律用語を使っている」という批判はあるでしょうが、用語が難解になるのは、「定義を厳密にしなければならない」という要請から、ある程度仕方ないことでもあるのです。


では、今日はこの辺で。


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2014年10月16日木曜日

法律一発ネタ(その8)

司法書士の岡川です。

裁判の途中、相手の言っていることの間違いに気づいた場合、とっさに「異議あり!」と叫ぶと、恥をかきます。

【解説】
実際に、裁判の途中で即座に「異議」を出すことはあるのですが、この「異議」とは、相手の言ってる内容に対する反論ではなく、相手の訴訟行為が違法だ(例えば「それは誘導尋問だ」とか)と指摘する行為なのです。

では、今日はこれだけ。

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2014年10月15日水曜日

官と公

司法書士の岡川です。

役所を表す用語には、色々なものがあります。

官庁、官公庁、官公署・・・などなど。

普通はあまり気にすることはないかもしれませんが、これらをきちんと使い分けていますか?

まず、「官庁」というのは、国家機関あるいはその下の組織をひっくるめた役所を指します。
後者の意味では、「官署」という語と同義ですね。

そのうち行政を担当するのが行政官庁で、内閣や内閣総理大臣、各省の大臣、各庁の長官などのことをいいます。
官署をの意味でいえば、各省庁などが行政官庁です。
法務局も法務省の地方支分部局なので「官庁」です(中央官庁に対して、地方官庁といいます)。

司法を担当するのが司法官庁で、裁判所が司法官庁です。
裁判所も官庁なのです。


他方、地方公共団体の機関のことを「公署」といいます。
都道府県庁や市役所です。

「官庁」に対応させた「公庁」といういい方はあまりしないですね(そんな言葉ないかも)。

で、この「官庁」と「公署」を併せた総称を「官公署」とか「官公庁」といいます。

(「官公署」と「官公庁」の使い分けについてネットで検索してみたら、「官公庁は国の行政庁のことをいう」といった記述が見つかったが、これは誤り。「国の行政庁」を指す語は「行政官庁」です。)

このように、だいたいにおいて、「官」とあれば国のことです。
「官営企業」といえば、運営しているのは国です。

他方、「公」とあれば、国と地方を併せた場合もあれば、地方のみを指す場合があります。
「公営」というとき、地方公共団体が運営するものの場合もあれば、国と地方あわせた公的な主体が運営するもの全体をさすこともあります。

官と公、きちんと使い分ければ、ちょっと世の中の仕組みを知ってるっぽく見えますので、是非明日から使い分けてみて下さい。

では、今日はこの辺で。

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2014年10月14日火曜日

「特許」の意味

司法書士の岡川です。

青色LEDを発明した(実用化した)人たちがノーベル賞を受賞しました。

そこでも出てきた「特許」という用語。
皆さんも日常的にとまではいかなくても、まあまあそこそこの頻度で耳に(目に)する法律用語だと思います。

この「特許」という法律用語ですが、実は意味としては2種類あります。


まずひとつは、皆さん良くご存じの「特許権」の「特許」です。
特許権とは、発明したものを独占的に利用する権利で、「特許を取得した」といった使い方をします。
特許を受けた発明を特許発明といいます。

創作と同時に当然に発生する著作権と違って、特許権が発生するには、特許庁に出願して、審査を経て、特許料を納付して、特許権の設定登録(「特許原簿」というものに登録します)をする必要があります。
特許庁における一連の手続を経て、審査官が発明を特許権の保護の対象として認める行為が「特許」です。

なお、出願先は特許庁です。
東京特許許可局ではありません。

特許出願手続の代理をするのが弁理士ですね。


この一般的によく知られた意味での特許と違い、行政法学上の概念としての「特許」というのもあります。
これは、行政機関が特定の者に対して何らかの特権を与える行政行為をいいます。
例えば、道路や河川の占用許可などが「特許」とされています。


両者の「特許」は全く別概念です。
基本的には、前者の意味だけ知っていればいいと思いますけど、行政法を勉強すると同じ語で別概念の「特許」が出てくるので混乱しないようにしましょう。

では、今日はこの辺で。


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2014年10月10日金曜日

「委託契約」とはどんな契約か

司法書士の岡川です。

「委託」という言葉は、一般的には(特にビジネスの世界では)よく使われるものです。
他人に何か(仕事)を任せるとか頼むというような意味で、巷には「業務委託契約」とか「営業委託契約」といった、「委託契約」という名の契約が溢れかえっています。

しかし、実は民法(基本的な契約類型などを定めた私法の一般法)には「委託契約」という類型はありません。
のみならず、概念的にも、契約分類として「委託契約」とは何かを定義づけることはできません。

「委託契約」という名の契約は、「他人に何かを頼む契約」程度の意味しかなく、法的な性質は個々の契約ごとに全く異なっているからです。
そのため、「委託契約には、どの法律のどの規定が適用されるか」という問いに答えることもできないのです。


「委託契約」という名の契約が締結されている場合、実際にはどういう法的性質の契約なのかは、その中身で判断するしかありません。

例えば、法律行為(例えば契約締結や示談交渉、商取引など)を委託する契約であれば、これは法的には「委任契約」といいます。
法律行為以外の事務を委託した場合は「準委任契約」といいます。

委任や準委任は、その事務を処理すること自体が契約の内容です。
仮に委任者の希望に沿った結果が出なかったとしても、それは契約違反にはなりませんし、契約で報酬の取り決めをしていれば、受任者は事務処理に対する報酬を受け取ることはできます。


他方で、「仕事の完成」が契約の内容となっている場合、これは法的には「請負契約」といいます。
請負契約の場合、仕事の結果によって報酬が発生するので、「頼まれていた仕事を完成させようといろいろ努力したんですが、結局完成しませんでした。でも働いたんでその分の報酬ください」といっても基本的には認められません。


また、場合によっては「雇用契約」の場合もあります。

従業員を「雇用」すると、労働法(労働契約法とか労働基準法とか)の厳しい規制対象になりますし、社会保険の関係でも雇用主には様々なコストが発生します。
そこで「業務委託契約」という契約にして、「従業員として雇用したのではなく、個人事業主へ委託したのだ」という形をり、様々な規制やコストを回避する方法がとられることがあります。

しかし、仮に契約書のタイトルが「業務委託契約」であったとしても、使用従属関係があれば、その実質は雇用契約だということになります。


このように、よくわからない「委託契約」ですが、何契約か微妙であったりハイブリット的な契約だったりすると、「委任契約」とか「請負契約」と断定するより、「委託契約」とぼかしていた方が納まりがよいという面はあります。
意味が漠然としている分、使いやすいので、よく使われているのでしょうね。

どうせ契約のタイトルは契約の性質には一切影響しない(「お仕事おまかせ契約」とかでもいいわけです)ので、やたらめったら「委託契約」という名の契約が溢れていること自体は特に問題はないのですが、契約当事者となるときは、実際にはどういう契約なのか、はじっくりと検討する必要があります。

では、今日はこの辺で。

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2014年10月8日水曜日

「限定承認」という制度も覚えておきましょう

司法書士の岡川です。

人が死んで相続が開始した場合、相続人は、その相続を放棄することができます(→参照「相続放棄を忘れずに」)。
ただし、3か月以内に放棄をしなかった場合や、3か月以内でも相続人として行動した場合などは、相続を承認したことになり、その後は放棄することができなくなります。

誰もが「相続財産のうちプラスの方が大きいなら相続したいし、そうでないなら放棄したい」と考えるでしょうが、問題は、相続人にとって、被相続人の財産を3か月以内に全て明らかにすることは必ずしも簡単なことではないということです。

相続財産の中に思わぬ大きな借金があったりすれば大変です。


そこで、「限定承認」という制度があります。
これは、プラスもマイナスも完全に承継するという単純承認とは違い、「プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を支払う」という制度です。

例えば、預金が1000万円とした場合、借金が200万円なら、1000万円の中から200万円支払って、差し引きで800万円が残ることになります。
これは、単純承認の場合でも同じですね。

借金が1000万円なら、1000万円から1000万円支払うので、手元に残るのはプラスマイナスゼロです。
これも単純承認の場合と同じです。

借金が1200万円あった場合、承継したプラスの財産である1000万円の中から1000万円を支払うだけでよく、それ以上は支払わなくて済みます。
このとき仮に単純承認していれば、承継した預金の1000万円を借金に充当したとしても、残りの200万円分は相続人が自腹を切らなければなりませんが、限定承認なら承継した1000万円を超えて自腹を切ってまで1200万円全額を支払う必要がなくなります。

つまり、「少なくともマイナスにはならない」(最悪でも差し引きゼロになる)というのが、限定承認なのです。

何ともお得な制度ではありますが、気軽に「あ、じゃあ限定承認します」と宣言すればよいというものではなく、財産目録を作成してから家庭裁判所に申述した上で、債権者を探すために官報公告や催告をした後に弁済するという、一連の清算手続する必要があります。
やってやれないことはないですが、面倒な手続が必要で手間暇かかるうえに、税務上も色々とややこしいので、あまり利用されていません。
明らかに多額の借金があるならさっさと放棄した方が楽です。

とはいえ、「借金はあるけど、総額が不明だから、差し引きしたらプラスかマイナスか微妙なところ」という場合には、大いに利用価値がありますし、他にも、「多額の借金はあるけれど、どうしても承継したい財産(例えば家など)がある」という場合にも使えます。

例えば、被相続人に1000万円の借金があったとして、プラスの財産が200万円の価値の不動産だけの場合、相続人がその不動産を取得したければ、限定承認したうえで、自腹で200万円を弁済すればよいのです。


何はともあれ、タイムリミットは3か月です。
それまでに単純承認するか、限定承認するか、放棄するかの選択を迫られます。

四十九日が終わった頃にはもう残り2か月を切っています。

日頃からどうするか考えておくと良いかもしれないですね。

では、今日はこの辺で。


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2014年10月7日火曜日

私戦予備罪という犯罪

司法書士の岡川です。

北海道大学の学生が、私戦予備罪で事情聴取を受けたというニュースがありました。

非常に珍しい罪名です。
過去に適用された事例は無いかもしれませんね。


私戦予備罪も含め、刑法の前の方に規定されている犯罪類型(内乱罪や外患誘致罪など)というのは、国家的法益(つまり、そこで守られている利益が国家に帰属するようなもの)に対する犯罪であり、それも「国に直接喧嘩を売るようなレベルのもの」が置かれています。

法定刑が「死刑一択」という、日本でもっとも重い犯罪である外患誘致罪は81条、私戦闘予備罪は93条です。

日本では国家転覆を図ったりするような事例はそうそうないので、94条(中立命令違反)までの犯罪は、基本的には適用されることがありません。


そんな中の私戦予備罪、これは「国交に関する罪」として規定されており、「外国に対して私的に戦闘行為をする目的で、その予備をした者」というのが要件です。
法定刑は、3月以上5年以下の禁錮です。


ちなみに、予備ではなくて陰謀(つまり、まだ準備をしていない段階)であっても、「私戦陰謀罪」として、 やはり同じ規定が適用されます。


実は、色々と珍しい犯罪類型です。

まず、「私戦罪」という犯罪が存在しません。
例えば、殺人予備罪には、原則類型である「殺人罪」があって、その予備段階を処罰するものですが、私戦予備罪にはそういうのがありません。
予備罪が予備罪として単独で存在するので、こういう犯罪を「独立予備罪」と呼ぶことがあります。

それから、「自首した者は、その刑を免除する。」という、救済規定があります。
基本的には、犯人が自首した場合の救済は、「刑を減軽することができる」(42条)という任意的減軽なのですが、減軽ではなく免除、しかも「免除できる」のではなく、必ず免除されます(必要的免除)。
必要的免除の規定はほかに、内乱予備(陰謀)罪、内乱等幇助罪で暴動前に自首した場合というのがあるだけです。

私的に戦闘することを企てて、警察にバレる前に、「戦闘の準備をしてましたけど、やめました」と名乗り出れば、刑を免れるということです。
そんな申告を受けたら警察も困惑すること間違いなしです。

実際にそんなことがあるのか不明ですが、複数人で準備していて、1人が離脱して自首するというパターンはありそうですね。

なお、「刑を免除する」というのは、無罪ということではなくて、「犯罪は成立するけど、刑は科されない」という意味です。

「刑は科さないであげるから、実行する前に断念しなさい」という趣旨ですね。


今回は、今のところまだ事情聴取ということで、あまり具体的な中身がよくわからないのですが、場合によっては私戦予備罪で逮捕、起訴されたり有罪になったりするのでしょうか。

注目です。

では、今日はこの辺で。


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2014年10月2日木曜日

遺留分について

司法書士の岡川です。

相続が開始すると遺産は相続人に帰属しますが、生前に遺言書を書いておくことによって、遺産の処分方法について決めることができます。

「自分の遺産は全て長男に相続させる」という内容でもいいですし、「自分の遺産は近所の八百屋のおじさんに全て遺贈する」というものでも構いません。
遺言の方が優先されますので、法定相続分を有する相続人であっても、必ずしも遺産を承継することができるとは限らないことになります。

もっとも、残された家族の生活を保障する必要がありますし、財産が貯まるまでには家族の寄与もあったと考えられます。
遺言によって自由に遺産の処分方法を決めることができるといっても、さすがに近親者に1円も残さないというのは酷だろうということで、「遺留分」という制度が存在します。

遺留分とは、遺産のうち、近親者の権利として確保されている一定の割合をいいます。
この遺留分を侵害された人は、その限度で請求できるとされています。


遺留分を有するのは、法定相続人のうち兄弟姉妹以外の者です。
つまり、配偶者や子(いないときはその代襲相続人)、直系尊属が相続人になるときは、その人が遺留分権利者となっています。

兄弟姉妹は第三順位の相続人ではありますが、遺留分はありません。
したがって、兄弟相続の場合(子や孫がおらず、直系尊属もいない場合)に、遺言で特定の人に相続させる(遺贈する)旨の意思表示がなされていた場合は、誰の遺留分も侵害しませんので、その遺言書の内容どおりに遺産が承継されるということです。

遺留分の割合は、直系尊属のみが相続人である場合は、遺産の3分の1。
それ以外の場合では、遺産の2分の1が遺留分です。
各相続人は、この遺留分の中で、法定相続分に応じて権利を有しています。

例えば、相続人が配偶者と2人の子で、遺産が3000万円の場合、遺留分全体は遺産の2分の1の1500万円です。
配偶者はその2分の1なので750万円、子は残りの2分の1を等分するので375万円ずつを、遺留分として確保することができます。

相続人が配偶者と両親だった場合、遺留分全体は同じく1500万円ですが、配偶者:直系尊属の法定相続分の割合は2:1なので、配偶者の遺留分は1000万円、両親の遺留分はそれぞれ250万円ずつです。

もし配偶者がおらず、相続人が両親だけだった場合は、遺留分としては遺産の3分の1なので1000万円、それを両親が等分して500万円ずつの遺留分を有することになります。

どのような遺言の内容であったとしても、この割合については、侵害することができないものとして確保されています。


なお、遺留分を侵害するような遺言であっても、遺言自体は有効です。
あくまでも遺留分権利者は、「遺留分を侵害した分を返せ」と請求する権利を有するにすぎません。

この「返せ」という請求を「遺留分減殺請求」といいます。
減殺は「げんさい」と読みます。「げんさつ」ではありません。

逆に言えば、遺留分権利者が遺留分減殺請求をしなければ、遺言の内容どおりに遺産を承継することができます。


実際の遺留分を算定するには、上記のような「3000万円のうちの1500万円」といった単純なものではなく、色々と複雑な計算が必要になってきますが、配偶者や子、直系尊属には遺留分があるということさえ覚えておけば、あとは法律の専門家(例えば司法書士とか司法書士とか司法書士とか)に相談するとよいでしょう。


では、今日はこの辺で。


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