2014年10月20日月曜日

成文法と不文法

司法書士の岡川です。

法の存在形式のことを「法源」といいます。
法源はいろんな分類ができますが、大きく分けて、「成文法」と「不文法」に分けることができます。

成文法とは、法が文書の形で存在するものです。
国や地方公共団体等において立法権限を有する機関が、一定の手続きを経て制定する法なので「制定法」ともいいます。

典型的には、国会で制定される「法律」ですね。

権限を有する機関というのは、日本において中心的なものは国会ですが、政令や省令のように行政機関が一定の範囲内で立法することもあります(これを行政立法といいます)。
また、地方公共団体の議会は条例を制定することができます。

成文法(制定法)の形式については、どのようなものがあるのかは過去に記事にしていますので、そちらをご覧ください(参照→「色々な法形式」)。

これに対し、文書の形で制定されない法を「不文法」といいます。
慣習法や判例法がこれにあたります。


日本は、重要な法(憲法や法律)が成文法(制定法)の形で存在します。

日本のように、成文法が法体系の中心的な役割を果たしているシステムを、「成文法主義」(「制定法主義」)といいます。
日本だけでなく、ドイツやフランスといったヨーロッパの大陸側の国の法体系(「大陸法」といいます)や、その法体系を引き継いだ国では成文法主義が採られています。
そもそも日本は明治時代にドイツやフランスの法体系を輸入しているので、そうなっているわけです(ちなみに、法体系を輸入することを「継受」といいます)。

他方で、不文法(特に判例法)を中心に据える法体系を「不文法主義」(「判例法主義」)といいます。
イギリスやアメリカで発展した法体系(「英米法」といいます)の国では、判例法主義が採られています。


ただし、成文法主義といっても不文法が法源として認められないというものでもない(例えば、日本でも私法上は慣習法が認められている)し、逆に不文法主義の国でも多くの成文法が制定されています。
あくまでも「どちらを中心とする体系か」によって決まります。


両者の違いが大きく表れるのが、「罪刑法定主義」という考え方です。
日本を含む大陸法系の国々では、刑罰法規は予め成文法(特に「法律」)の形で制定しなければならない(派生原理の「法律主義」)と考えられています。
ところが、不文法主義の国(英米法の国)では、刑法の法源としても不文法が認められているのです(もっとも、事後法の禁止という考え方は英米法にも存在します)。


社会は、「文字で書かれたルール」だけで回っているのではないのですね。

では、今日はこの辺で。

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2 件のコメント:

  1. 現在、法律を勉強していまして、いつもブログの記事を参考にさせていただいています。
    とてもわかりやすくてスイスイ読めます。

    これからも更新楽しみにしています。

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    1. ありがとうございます。そう言っていただけると励みになります。
      最近は更新が滞り気味ですが、なるべく更新するよう努めますので、よろしくお願いします。

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