2018年11月26日月曜日

【告知】知って安心!遺言と成年後見制度(茨木市)

司法書士の岡川です。

毎年恒例の、一般市民向け成年後見セミナー・無料相談会(共催:大阪司法書士会、リーガルサポート大阪支部)が今年も行われます。
北摂ブロック(高槻、茨木、吹田、摂津、島本)では、今年度は茨木市で2回開催します。

まずは、第1回目の告知です。

司法書士による法律講座・無料相談会「知って安心!遺言と成年後見制度」
日時:平成30年12月2日(日)
場所:茨木市市民総合センター(クリエイトセンター)
申込:法律講座は申込不要、相談会は事前申込優先(先着順)

ちなみに、今年度第2回目は、来年2月16日に総持寺の庄栄コミュニティーセンター(阪急総持寺駅から徒歩すぐ)で開催予定ですので、12月の予定が合わない方は、そちらもどうぞ(内容は同じです)。

成年後見制度について気になっている方など、事前申し込み不要ですので、お気軽にお越しください。

詳細は、リーガルサポート大阪支部のホームぺージに掲載のチラシをどうぞ。

知って安心!遺言と成年後見制度」(PDF)

では、今日はこの辺で。

2018年11月13日火曜日

債権法改正について(26)(保証4)

司法書士の岡川です。

債権法改正で、全体的に保証人の保護が強化されています。
その流れで、「事業に係る債務についての保証契約の特則」として、主債務者が事業者である場合の新たなルールがいくつか追加されています。
これは、今回の改正における大きな改正点のひとつです。

第465条の6 事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約は、その契約の締結に先立ち、その締結の日前1箇月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じない。

会社等の事業者が事業資金として貸付を受ける場合、個人が連帯保証人をつけるよう求められることも多いですが、その場合、連帯保証人(になる人)は、必ず公正証書で意思表示をしないといけないことになりました。
公正証書が作成されていないと、連帯保証契約が無効となります。
法人が保証人になる場合は除外されています(同条3項)。

事業をやっている友人から頼まれて、あまり深く考えないで連帯保証契約書にハンコを押してしまい、事業が失敗して連帯保証人として莫大な債務を負う…というのはよく聞く話です。
そういうことがないよう、事前に公証人による確実な意思確認を経なければならないことになりました。
公証人が何を確認するかというのは、同条2項に細かく定められています。


ただし、このルールは、事業と無関係な第三者が過度な負担を強いられないようにするために導入されたものです。
そのため、次のような人が保証人になる場合は適用されません(改正465条の9)。

・主債務者が会社の場合は、その取締役や執行役等、議決権の過半数を有する株主(株主が会社の場合、その会社の議決権の過半数を有する株主)等
・主債務者が個人の場合は、共同事業者、事業に従事している配偶者

つまり、零細企業で一般的に多く行われているような、「会社がお金を借りるときに社長が連帯保証人になる」という場合は、対象外です。
この場合は、従前どおり私文書で契約しても有効となります。
なお、そもそも現行法でも、保証契約は書面でしないといけませんので、口頭での契約は無効です。


事業に係る債務についての保証契約に関する保証人保護のための規定としてもうひとつ、保証の委託を受ける者に対する情報提供義務の規定が新設されました(465条の10)。
改正法で新設された情報提供義務には、全ての保証契約に関係するものもありますが、それに加えて、主債務者が事業者であるときは更に義務が上乗せされます。
これは、保証人になる前(契約締結時)の情報提供義務です。


第465条の10 主たる債務者は、事業のために負担する債務を主たる債務とする保証又は主たる債務の範囲に事業のために負担する債務が含まれる根保証の委託をするときは、委託を受ける者に対し、次に掲げる事項に関する情報を提供しなければならない。
一 財産及び収支の状況
二 主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況
三 主たる債務の担保として他に提供し、又は提供しようとするものがあるときは、その旨及びその内容

この規定に反して情報を提供しなかったり、あるいは誤った情報を提供したことで、誤認して保証契約を締結した場合、主債務者の情報提供義務違反を債権者が知っていたか知ることができたときは、保証人は、保証契約を取り消すことができます(同条2項)。


以上で、保証に関する改正は終わり。
保証に関する改正は、かなり条文が増えているのでじっくり読み直してみるのも良いでしょう。
私はしませんが。

では、今日はこの辺で。