島根県で女子大生が承諾殺人罪で逮捕されたようです。
承諾殺人容疑で女子大生逮捕=31歳男性死亡-島根県警
刑法とは、法律によって保護される利益(法益)を守るためにあります。
他人の法益を侵害する行為を「犯罪」として規定し、それに罰則を設けて抑止しているわけです。
そうすると、基本的には、法益を放棄すれば、犯罪を成立させる意味がありません。
例えば、持ち主が「自由に持って行っていいよ」と言ったパソコンを持って行ったとしても窃盗罪は成立しませんし、国会の委員会において突如大声で健康状態を尋ねる癖を持つ国会議員が、その支持者の求めに応じて顔面を平手で殴打したとしても暴行罪は成立しません。
このあたりの説明については、過去にも書いたので参照(→「痴漢サイトなりすまし事件」)。
さて、そんなわけで、原則として被害者の「同意」があれば犯罪が成立しないのですが、例外として、「生命」という法益については、刑法は厳しい規定となっています。
すなわち、人を殺した場合、いくら被害者の同意があっても犯罪成立が否定されません。
もし、被害者が殺されることを承諾していた場合、「承諾殺人罪」が成立することになります。
あるいは、被害者が「殺してくれ」と頼み、それに応じて殺した場合、「嘱託殺人罪」が成立します。
また、他人の自殺を教唆したり幇助することも自殺教唆罪や自殺幇助罪が成立します。
真の同意がなければ、場合によっては殺人罪が成立することもあり得ます。
これらは、殺人罪より罪は数段軽いのですが、それでも犯罪は犯罪です。
つまり、「生命」という法益は、完全に自由に放棄することができないということになります。
日本では、本人が1人で自殺すること自体は犯罪ではありません。
当然、自殺未遂罪もありませんので、死にきれなかったとしても処罰されることもありません。
いくら「生命」が大切だといっても、「自殺未遂をした者は死刑」という規定があれば本末転倒です(ただし、自殺を違法とする立法例も存在します)。
しかし、「他人の死」に関与することは許されない、というのが刑法の立場です。
たとえ本人が望んでいてもです。
自殺、あるいは自死といういい方もしますが、死を望んでいる人たちも、誰しも好き好んで死にたいわけではありません。
それを助長する行為はすべきではないということでしょうね。
「殺してくれと言われたから殺した」「殺していいと言われたから殺した」というのは、簡単に許されるものではないのです。
では、今日はこの辺で。
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