日常的に使われる日本語と、法律用語では意味が異なることがある、ということを書きました(→「『悪意』の意味」)が、「果実」というのもその典型例ですね。
「果実」 とは、一般的には果物(フルーツ)のことです。
ところが、法律用語で「果実」をフルーツの意味で用いることは少数です。
民法には、次のような規定があります。
物の用法に従い収取する産出物を天然果実とする。(民法88条1項)
物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物を法定果実とする。(民法88条2項)
これらが全て果実です。
では、具体的には何が果実なのでしょうか。
果樹園のリンゴは、「物の用法に従い収取する産出物」なので、天然果実です。
ここまでは、日常の用語と共通。
ところが、法律用語では、畑で採れたレタスも果実です。
「実」である必要はないのです。
さらには、採卵用のニワトリが生んだ卵も、乳牛から搾った牛乳も果実です。
植物から採れる必要もありません。
そのうえ、鉱山からとれるダイヤモンドだって果実です。
生物から産出する物である必要もないのです。
ここまでは、天然果実です。
そして、「果実」には、法定果実も含まれます。
法定果実とは、「物の使用の対価として受けるべき金銭」なので、例えば、「賃貸物件の賃料」などをいいます。
「賃料」が果実なのです。
そして、法律上の紛争というのは、リンゴやミカンで起きるよりも、賃料などの金銭トラブルのほうが圧倒的に多いので、法律用語としての「果実」とは、法定果実を指すことが多いのです。
法律用語を作るときに、もうちょっとどうにかできなかったのか疑問ですが・・・。
では、今日はこの辺で。
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