前回は、様々な法形式を紹介しました。
これに関連して、重要な原理をあわせて紹介しておきましょう。
異なる形式の法令の中には、上位の法規範(上位法)と下位の法規範(下位法)があり、法秩序は、それらの法規範が憲法を頂点とした階層構造をしています。
すなわち、「憲法」が頂点にあり、その下に「法律」があり、さらにその下に「命令」がある、という具合です。
憲法と法律では憲法が上位法で法律が下位法、法律と命令では法律が上位法で命令が下位法になります。
そして、下位法は、上位法を根拠としてのみ効力を有するとされています(法段階説)。
つまり、異なる形式の法令相互に矛盾がある場合、上位法が下位法に優先することになります。
これを、「形式的効力の原理」といい、「上位法は下位法を破る」というふうに表現されます。
何らかの法律が日本国憲法に違反すると、その法律が無効となるのは、上位法である日本国憲法が下位法である法律に優先するからです。
では、それぞれの法形式の上下関係はどうなっているのか、個別にみていきましょう。
国内法の中で、「憲法」が最上位であることは、異論ありません。
そしてその次に「法律」がきます。
「法律」の下には「命令」がありますが、命令にも色々あります。
命令の中の優先順位では、政令が上位で、府省令がその一段下にあります。
また、外局の規則や庁令に対しては、上位機関の府省令が優先するとされます。
法律と最高裁判所規則では、一般的には法律が上位だと考えられています。
議院規則と法律との関係は、特に国会法との間の優劣が問題となります。
議院規則が優先するという説も有力ですが、一般的には法律が優先すると考えられています。
最高裁判所規則と議院規則では、そもそも所管事項が異なるので(それぞれが、司法機関・立法機関の内部を規律する法なので)、どっちが上位か下位かという問題にはならないと思われます。
その意味では、「同等」ということになるのでしょうか(政令と同等?)。
条例は、国の行政機関が定める命令(政令や府省令など)より下位になります。
地方公共団体の規則は、さらにその下位です。
まとめると、
憲法>法律>政令>省令>庁令>条例>地方公共団体の規則
という具合になります(裁判所・議院規則は別系統ということで省略)。
上位法と下位法の優先順位は、特別法と一般法の優先順位と同じく、基本的なルールですので、覚えておきましょう。
では、今日はこの辺で。
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