2013年11月1日金曜日

地番と住所表示が別々にある理由

司法書士の岡川です。

前回の続きで、地番と住居表示の話です。
土地の情報を記録している登記簿では、地番で全ての土地を特定し、管理しています。
したがって、「どこの場所にあるどの土地か」を示しているものは地番です。

他方、住所というのは、人や事務所の所在場所を表すものです。
なので、普通はどこかの土地上の建物の中にあるものですから、地番をそのまま住所として表すことは可能です。
元々はそうなっていましたし、今でもそうなっている地域は少なくありません。


しかし、地番をそのまま住所として使うといろいろ不便なことが出てきます。

地番は、土地を特定するためのものですから、「それぞれの土地」に個別の番号が割り当てられます。
そして、とにかく個々の土地を特定するだけのものなので、ひとつの土地の上に建物が複数あったり、複数の土地の上に家が建っていたりしても不都合は生じません。

土地の真ん中を道路が通っていたり、一筆の土地の中が塀で区分されていることもあります。

また、土地を分筆したり合筆したりしていると、地番が複雑になることがあります。
例えば、「2番3」という土地の隣に「2番10」という土地が存在し、さらにその隣に「30番」の土地がある、なんてこともあり得ます。


このように、その区域の実際の利用のされ方(目に見える土地と土地の境)と土地の境界は一致していないし、地番の順番もバラバラだったりするわけです。

その場合に、地番と住所が常に一致していると、郵便配達のおじさんが困るわけですね。

「2番4」の住民に配達しようと思って、「2番3」を見つけても、その隣にはなぜか「2番10」があったりするのでは、お目当ての土地がなかなか簡単には見つけられないですね。
「1192番の土地がどこにあるか」など推測することもできません。


そのために、市街地では地番とは別に住居表示というものが作られました。
住居表示は、土地を特定するためのものではなく住所を示すものなので、土地ではなく建物に付けられるものです。

土地の境界がどうなっていようが、どういう順番で地番がふられていようが、並んでいる建物の端から順番に1番、2番、3番…とつけていけば、わかり易い。
これが住居表示です。


佐川男子も大助かりですね。


そんなわけで、土地の識別とは別の住所の表記である住居表示が存在するわけです。

次回、具体的な住居表示の表記の仕方をご紹介。

では、今日はこの辺で。

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