2013年12月16日月曜日

初日不算入の原則

司法書士の岡川です。

細かいことですが、重要な原則として、「初日不算入の原則」というものがあります。

法律の世界は、「期間」というものがしばしば重大な意味を持ちます。

例えば、控訴期間を1日でも過ぎれば控訴できないし、時効完成まであと1日であっても、時効中断事由が発生すればその時点で時効完成が妨げられます(→参照「時効の完成に気を付けよう」)。

「何日」とか「何年」とかいう期間が定められていた場合、1日でもずれると結論が変わってきますので、「いつからいつまでか」を、きちんと厳密に確定する必要があります。
弁済期を1日でも過ぎれば遅延損害金が発生しますが、例えば「1か月後」と決めた場合、いつから遅延損害金が発生するかは、1日単位で細かく期間を計算しなければなりません。

そんなわけで、厳密な期間計算のためには、ルールが必要です。
そのルールのひとつが、「初日不算入の原則」です。
読んで字のごとく、期間計算に「初日は参入しない」という決まりです。

民法140条には、「日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。」と規定されており、これが基本的な期間計算のルールとなっています。

改めて確認するまでもないですが、1週間は7日間のことをいいます。
では、「1週間」という期間を設定したとき、「いつから7日間か」ということは、ハッキリさせておかなければなりません。

例えば、民事訴訟において控訴ができる期間は、「判決書の送達を受けた日から2週間」です。

平成25年12月3日の昼3時ごろに、判決書の送達を受けた(郵便屋さんから受け取った)としましょう。

ここで、「送達を受けた12月3日から2週間(14日間)だから、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16日まで」と数えて、16日が経過したらもう控訴ができない!と考えてはいけません。
初日不算入の原則がありますので、3日は除いて、「4、5、6、・・・(略)・・・15、16、17日」と14日数え、17日までは控訴することができます。


まあ、わかり易くいうと、週単位で決めた場合、初日と同じ曜日の日が終期になります。
月単位でも同じですね。
「12月3日から1か月」と決めたら、終期は1月2日ではなく、1月3日になります(カレンダーで数えてみてください)。


ただし、午前0時ちょうどから始まる場合は、初日も算入します。
「平成25年1月1日午前0時から1年間」という期間は、平成25年12月31日で終わりです。


原則に例外はつきもので、この初日不算入の原則にも個別にはいくつか例外がありますので気を付けましょう(例えば、年齢の計算は初日算入です)。

では、今日はこの辺で。

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