2014年6月12日木曜日

合名会社と合資会社

司法書士の岡川です。

合同会社については書いたので、合名会社と合資会社についても書いておきましょう。

合名会社と合資会社は、どちらも「持分会社」の一種です(持分会社の意味については、「合同会社の話」参照)。
会社の構成員は「社員」と呼ばれ、株式ではなく「持分」を有します。

合同会社との違いは、合同会社の社員が「出資した限度で責任を負う」という「有限責任」を負っているのに対し、合名会社では社員(会社の構成員の意味です)の全員が、合資会社では社員の一部が、「無限責任」を負うということです。

・合同会社=全員が有限責任社員
・合名会社=全員が無限責任社員
・合資会社=有限責任社員と無限責任社員が混在

社員が無限責任を負うということは、会社の債務について、社員が無制限に弁済する義務を負うことを意味します。
つまり、株式会社や合同会社では、会社が倒産した場合、「株主や社員の出資金が戻ってこない」という限度で責任を負います(有限責任)。

しかし、合名会社の社員や合資会社の無限責任社員は、債権者から「会社に金が無いなら代わりに社員が金払え」と請求される立場にあるのです。

会社の債務は、全て社員が支払う義務を負うわけで、無限責任社員になるということは、それだけのリスクがあります。
事業のにおける債務が全て個人の負担になるという点で、個人事業主と同じだということになります。


合名会社・合資会社のメリットとしては、「持分会社なので設立が簡単」という点があげられますが、それならあえて無限責任を負わなくてもよい(合同会社を作ればよい)ですし、現行の会社法では、株式会社の設立も昔ほど厳格な要件を求められておりませんから、株式会社の設立がそれほど難しいというわけでもありません。

合名会社や合資会社は、ほとんどが「昔からある会社」です。
株式会社の規制が緩和され、合同会社という形態も選択可能な現行法においては、新規に合名会社や合資会社を設立するメリットはあまり無いと思われます。

では、今日はこの辺で。


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