2014年7月22日火曜日

ルール違反をした場合に支払うお金

司法書士の岡川です。

一般的な用語として、ルールに違反したときに支払うお金を「罰金」といいます。
しかし、法律用語としての「罰金」とは、もっと狭い意味で、法律に違反した場合にお金を納めるよう命じられる制度としては、罰金以外にもいろいろあります。
「罰金」として認識されているものの中にも、実は(法律用語としての)罰金じゃないものがあるので、今日はその辺のお話。


まず、法律用語としての「罰金」とは何かというと、これは刑法に規定された「刑罰」の一種です。
刑罰というのは、犯罪に対する刑事上の制裁です(「刑事罰」ということもありますね)。

刑罰なので、刑事訴訟手続の中で科されることになりますし、いわゆる「前科」もつきます。

同じく刑罰として金銭を支払う制度で、「科料」というものがあります。
罰金とほぼ同じなのですが、金額が1万円未満のものをいいます。
軽微な犯罪に対する制裁ということで、細かいところで違いがあります(例えば犯罪人名簿に登載されないとか)が、本質的には罰金と同じ財産刑です。


科料と同じく「かりょう」という制度で、漢字が違う「過料」という制度もあります。

過料は同じ「かりょう」の「科料」とは違って刑罰ではありません。
秩序罰といって、行政上の制裁です。

秩序罰は、行政上の違反に対する制裁であって、犯罪に対する制裁ではないので、過料を命じられたからといって犯罪者になるわけではありません(前科にもなりません)。

過料と科料は、口頭で話す場合に混同しないように、前者を「あやまちりょう」と言い、後者を「とがりょう」と言って使い分けることがあります。
使い分けられるようになったら、あなたも法律マニアです。


それから、反則金というのもあります。

これは、車を運転する方にとっては嫌な思い出があるかもしれません。
比較的軽微な交通違反をしたときに青キップを渡されて請求されるアレです。

交通違反は、だいたいにおいて犯罪なのですが、反則金自体は刑罰ではありません(裁判も経ずに、警察官の権限で刑罰を科されることはありません)。
交通犯罪を全部起訴してたらキリがないということで、「反則金を支払えば刑事事件としては見逃してあげるよ」という制度です。
そういう制度なので、反則金の支払いは任意です。
不起訴(起訴猶予)になることを見越して反則金を支払わないという猛者もいるようですけど、まぁ、そこは自己責任で。


ちなみに、刑罰である罰金や科料を支払えない場合は、労役場留置となります。
「働いて払え」てことです(1日あたり何円換算で何日間入れ、といった具合)。

過料は刑罰ではないので、支払わなければ差押えということになります。
実際に差押えを受けるかは別として。

反則金を支払わなければ、上記の通り、刑事手続に移行します。
実際に起訴されるかどうかは別として。


まあ、そんな感じですが、身に覚えがあることに関しては、素直に支払いましょうね。

では、今日はこの辺で。


この記事が「面白い」「役に立つ」「いいね!」「このネタをパクってしまおう」と思ったら、クリックなどしていただけると励みになります。
↓↓↓↓↓

※ブログの右上に、他のランキングのボタンもあります。それぞれ1日1回クリックできます。

0 件のコメント:

コメントを投稿