2014年10月30日木曜日

休眠会社の整理に気を付けましょう

司法書士の岡川です。

会社勤めの方には全く関係ないことですが、会社経営者(特に中小企業の経営者)の皆さんには注意していただきたいことがあります。

会社は、その実体をきちんと公示(広く一般に情報を開示すること)するため、商号や所在地、目的、役員構成などが登記がされています。
会社の登記は、個人でいう戸籍と住民票を合わせたようなものです。

この会社の登記は、内容(登記事項)に変更があればその都度「変更登記」をしなければなりません。
登記をするのは登記官ですが、会社の側から、法務局に対して「変更がありましたので登記してください」と申請しなければ登記をしてくれません。

そして、会社の登記は、取引の安全のために(取引先に迷惑をかけないために)存在するので、この登記申請は義務となっています。
不動産の移転登記などは、放置していても自分が不利益を受けるだけなので、登記申請は義務ではないのですが、会社の登記は義務であり、登記懈怠(サボること)には過料の制裁が待ち受けています。


「でも、そうそう登記事項が変わることなんかないでしょ?」

そう思う方もいるかもしれません。

確かに、会社の登記事項のうち、商号や所在地がコロコロ変わることはあまりありませんが、例えば役員(取締役や代表取締役)には任期があります。
現行法上、株式会社の取締役の任期は、最長でも10年です。
定款によっては、2年とか4年とかになっている会社も少なくありません。
中小企業の中には、


「うちの会社は創業以来、俺がずっと取締役で、取締役が変わったことなんかない」

という会社も多いでしょうが、任期が満了するごとに再任して同じ人が取締役になっているのだとしても、その場合は重任登記をする必要があります。
法的には、再任されても「退任+就任」しているので、たとえ同じ人でもそこで変更は生じているのです。

「いや、そもそも株主総会開いてないし、再任も何もない」という会社があれば、それはそれで「選任懈怠」で過料の対象となります。
取締役の任期が満了すれば、たとえ同じ人を選ぶのであっても、選任手続は必ずしなければならないのです。


となると、どんな会社であっても、10年以上何も登記がされないということは、まずあり得ないことになります。
そんな会社があれば、それはもう存在自体が疑わしいということになります。

そこで、会社法472条では、12年間何の登記もされていない会社を「休眠会社」としています。


この休眠会社について、法務大臣が官報公告と個別の通知をし、それに対する反応(「まだ会社やってます」という届出)がなければ、登記官は、職権で解散登記をすることができます。
これを「みなし解散登記」といいます。


この一連の作業を「休眠会社の整理」というのですが、今年も行われることになっています(前回は12年前でしたので次回は12年後かな?)。

対象の会社には、そろそろ通知が来ます。
それを無視すると、会社が解散してしまいます(3年以内にきちんと手続きをすれば復帰は可能ですが)。

通知が来たときに「法務局が何ぼのもんじゃーい」と無視してると、来年の1月に登記官が強制的に「解散」の登記をします。

また、そもそも何らかの理由で通知が届かない(所在地を移転したのにその登記すらしてないとか)場合であっても、手続は進みます。
もし心当たりがある会社は、今のうちに役員変更登記を申請しておきましょう。


では、今日はこの辺で。

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