2014年5月12日月曜日

「命令」いろいろ

司法書士の岡川です。

実は「『裁判』の意味」と「色々な法形式」という、別のことを扱った記事の両方に出てきた用語があるのですが、お気づきでしょうか。

「命令」という語です。
法律用語としての「命令」は、色んな意味をもっています。

既にご紹介したところでは、まず、「裁判」の形式のひとつで、(裁判所ではなく)裁判官がする判断である点で、「判決」や「決定」と異なります。
裁判のうち、「○○命令」という名前が付いていても、定義上は「命令」ではないものもたくさんあることも紹介しました(例えば、「差押命令」とか「損害賠償命令」とかは命令ではありません)。

それから、法形式のひとつで、行政機関により制定される法規範をいいます。
一般的には、国の行政機関が制定する政令や府省令、外局の規則などを指しますが、知事や市町村長が制定する規則も含め、およそ行政機関が制定する法を「命令」という場合もあります。


これらは、法規範や裁判の形式で、一般的にイメージされる「命令」とは少し違うかもしれません。


実は、命令っぽい「命令」もありまして、行政法における概念として、行政処分のうち国民に作為または不作為義務を課すものを「命令的行為」といいます。
よくニュースなどで出てくる「業務改善命令」なんかは、この意味での命令ですね。

公務員法上は、上司から部下への命令というのもありますが、これも命令っぽい命令ですね。


法律の話をしているときに「命令」というと、法形式や裁判形式のこと(つまり、命令っぽくない命令)を指すことが多いので、気をつけましょう。

では、今日はこの辺で。

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