司法書士の岡川です。
このブログでも過去に経緯を取り上げておりますが、日本ライフ協会が、民事再生手続から一転、破産手続を開始するようです。
日本ライフ協会の問題を整理しますと、
1.高齢者等の会員から預かっていた預託金を事業資金として流用していたことが発覚し、
→日本ライフ協会の預託金流用問題
2.自力での事業継続が困難となって民事再生手続の申立てを行い、
→日本ライフ協会が民事再生法適用申請した件
3.一般社団法人日本えにしの会への事業譲渡を行った上で解散する方針が決定していました。
→日本ライフ協会が解散?事業継続?
日本ライフ協会が行っていた事業は、えにしの会が全部引き受けて、日本ライフ協会自身は解散する予定でした。
その事業譲渡契約は、3月3日に既に締結済みでしたので、あとは契約に基づいて事業譲渡の手続きを進めてとりあえず日本ライフ協会の会員はサービスを継続して受けられるという話になっていました。
ところが、ここにきて、えにしの会が「資金調達ができない」という理由でその契約を解除しました。
今更事業譲渡が白紙撤回されても、日本ライフ協会が立ち直る余力はありませんし、そもそも事業譲渡先(全国規模の事業を引き受けられる先)としては、えにしの会が唯一の候補であったようです。
日本ライフ協会の事業を継続させるためには、事業譲渡しか方法はなく、えにしの会に事業譲渡ができないとなれば、日本ライフ協会に残された道は、事業をどこかに承継することもなく、ただ破産するのみということになりました。
いくら救済にきた立場にあるとはいえ、事業譲渡契約も立派な契約であり、契約当事者は対等な立場にあります。
成立した契約を一方的に破棄するということは、本来認められることではありません。
両法人間の事業譲渡契約の条項がどうなっていたかはわかりませんが、基本的には、えにしの会側の債務不履行となる可能性があります。
今後、えにしの会に対する何らかの責任追及が行われることになるかもしれません。
とはいっても、実際問題として引き受けられないものはどうしようもないし、そもそも経営破綻したこと事態は日本ライフ協会自身の問題です。
残念ながら、他に譲渡先がないのであれば、事業譲渡も自力での再建もできず、破産して解散するしかありません。
そのためサービスは3月末日で終了するようです。
管財人は、同種のサービスを行っている事業者リストを元会員に配布したようです。
もっとも、一連の問題で、身元保証サービスというものの問題が露呈することになったところ。
仮に元会員の皆さんが他の事業者を見つけて同じような契約をするにしても、また不正に巻き込まれることのないように、さらに慎重になる必要があります。
そもそも、本当に「身元保証」が必要であるのかというところから再度検討する必要もあります。
「身元保証」というものは、その意義や合理性が疑問視されている制度であり、専門家の間では身元保証制度そのものを廃止すべきという考えも強く主張されているものです。
身元保証に限らず、同種の事業者が行っている各種サービスについても、そのサービスが本当に自分自身に必要なサービスなのか見極めてから契約しなければなりません。
特に、サービスが全て「プラン」としてまとめられ、一括で契約していると、自身にとって不要なサービスも契約しているかもしれません。
場合によっては第三者の意見も聞きながら、焦らずじっくり検討しましょう。
というわけで、例によってここからは宣伝なんですけど、私は、専門職後見人として成年後見制度に力を入れております。
将来の不安を解消するためには、任意後見契約や死後事務委任契約、遺言という手段もありますので、ぜひご相談ください。
→任意後見契約制度について(事務所ホームページ)
では、今日はこの辺で。
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