2013年5月20日月曜日

休眠会社の違法売買

司法書士の岡川です。

先週、「虚偽申請ダメ。絶対。」とか書きましたが、虚偽申請というのはこういう犯罪ですよー、と。

休眠会社:転売容疑で逮捕 被害19都府県に(毎日新聞)

休眠会社を転売するため、違法に法人登記を変更したなどとして、広島県警は20日朝、東京都豊島区の経営コンサルタント会社「健友社」の社員、原光容疑者(26)=東京都練馬区=を司法書士法違反と電磁的公正証書原本不実記録・同供用の疑いで逮捕した。捜査関係者によると、同社は休眠会社の売買専門会社で、被害は19都府県で約30件、計約1億円以上に上るという。
容疑は、昨年3月までに、司法書士の資格がないのに顧客の依頼に応じて休眠会社の変更登記を代行。実際には開催していない株主総会の議事録や出資に関する証明書を偽造して東京法務局に提出、虚偽の内容で変更登記したとしている。
司法書士法違反にあたるのは、「司法書士じゃないのに会社の登記を代行する」という部分です。

そして、実際に開催していない株式総会の議事録に基づいて登記をするということは、例えば、取締役はAさんの会社で、Bさんが取締役になったと記録するわけで、実体(取締役=A)と異なる内容(取締役=B)が登記簿に記録されることになります。

登記簿は、刑法157条にいう「公正証書の原本」(厳密には、電磁的記録ですが)であり、それに実体と異なる不実の内容を記録させる行為(実際に記録するのは登記官なので、申請者は「不実の内容を記録する」のではなく「記録させる」行為です)は、犯罪として規定されています。

こちら、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっております。

なお、記事中にある「同供用」というのは、刑法158条の罪ですが、登記簿を閲覧できる状態にした段階で成立するものですが、この罪と不実の記録をする罪は、一方が他方の手段という関係になっているので、重いほうの罪で処断されます。
こういうのを「牽連犯」といいます。

両罪の法定刑は同じなので、結局2つひっくるめて、5年以下の懲役または50万円以下の罰金ですね。

それに、司法書士法違反と合わせまして、6年以下の懲役でございますよ。


では、今日はこの辺で。

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