2013年6月18日火曜日

原理・原則をおさらいする

司法書士の岡川です。

法律は自然科学のように普遍的な物理法則に支配されているわけではありませんが、かといって、単なる感情論や思い付きによって決まるものでもありません。

法は国家権力の後ろ盾のある社会のルールですので、そんな場当たり的に制定されたり適用されたりすると、危なっかしくて仕方ない。
なので、そこには一般的に妥当する原理であったり原則というものが存在します。

それらは、「宇宙の誕生とともに自然発生した」ようなものではなくて、よりよい社会を作るためのひとつの解として、長い人間の歴史の蓄積の中で確立されていったものであり、時代の変化に合わせて少しずつ変更されてはいるものの、「基本的には尊重すべきもの」です。


もちろん、原則には常に例外があるもので、「原則を墨守すれば正しい」ということはありません。
しかし、原則-例外の関係でいえば、何らかの特別な事情があるから例外が認められるのであって、そのような事情がなければ、基本的には原則が妥当することになります。
特別の事情がない限り妥当するからこそ「原則」なのです。

極めて当たり前のことを書いていますが、こういう思考方法をあっさり無視する人は意外と多いもので、かつ世間的にも結構まかり通っていたりします。

「例外を認めるべきだ。認めないというなら、その根拠を出せ!」

という趣旨の主張がまさにそれですね。
これを国会やらマスコミなんかでやられてしまうと、頭がくらくらしますが、別に珍しいことではありません。
「それが原則だ」ということを(意識的か無意識的にかはわかりませんが)忘れているため、そういう論調になることもあるからです。

ところで、何かを説明するとき、とりあえず一般的に妥当する原理・原則まで遡れば、それ以上の説明は省略できます。
それよりさらに歴史的背景に迫ってみたり、哲学的な問いに答えてみたりする労力を省いて、個別の問題を検討することができるわけです。
あるいは、その原理・原則を否定しようとしたり修正を迫ったりする場合も、原理・原則を前提に話をすることができれば、議論の整理がしやすい。

そういった意味で、原理・原則を理解し、かつ、相手もそれを共通の認識として持つというのは、非常に有用です。
専門的な細かい知識を国民全員が知る必要はないとしても、せめて原理や原則は、できるだけ多くの人が「当たり前のこと」として知っておくのが望ましいですね。

そんなわけで、今後、原理や原則についていろいろ書いてみるつもりですが、今日はとりあえず導入まで。

では、今日はこの辺で。

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