2013年9月29日日曜日

「携帯電話電源オフ」の不合理さ

司法書士の岡川です。

電車内での「携帯電話電源オフ」を見直す動きが出ているようです。

ペースメーカー:電車の「携帯電話電源オフ」再検討の動き(毎日新聞)
心臓ペースメーカーを誤作動させる可能性があるとして、電車の優先座席周辺で呼び掛けられている「携帯電話電源オフ」を再検討する動きが電鉄会社に出始めている。きっかけは今年1月、総務省が心臓ペースメーカーから携帯電話を離すべき距離について、規制を緩和する指針を出したことだ。
(中略)
だが、強い電波が出た「第2世代」と呼ばれる携帯電話が使用停止となった昨年、総務省が再度調査したところ、影響を与える距離は最大で3センチだった。このため今年1月、総務省は余裕をみて指針を「15センチ程度離す」と改訂した。
この記事によると、以前の携帯電話では強い電波が出て、ペースメーカーへ影響を及ぼす可能性があったようですが、それも、最も影響が出やすい環境下での実験で、15cmまで近づけたときに影響が出たので、実際に電車の中で誤作動が起こった事例が報告されたという話は聞いたことがありません。

基準の根拠となった実験が行われたのは15年以上前の携帯電話の話。
15年前といえば、2~3割くらいの人しか持っておらず、ようやくメールサービスが始まった頃。
もちろん、ネットにつなぐこともできなかった頃の話です。

その頃の基準で、今まで「ペースメーカーの誤作動が~」とか言ってたわけですね。


で、現在使われている機器で実験したところ、最大でも3cmまで近づけなければ影響がなかったようです。
これも、「3cmまで近づければ影響が出る」というものではなく、詳しくは次のような実験結果です。

・ペースメーカーを最高感度になるよう設定
・携帯電話端末からの電波で影響が出たのは、最も離れた位置でも1cm未満
・試験数の割合では、影響が出たのは3.8%
・特定の角度で近づけた場合のみ影響が出た
・アンテナから電波を出す実験では、最大で3cmの位置で影響が出た
・上記の「影響」は、「めまい等が起こるが、離れると回復する」程度

というようなものです。
3cmというのは、携帯電話端末から電波を発射した実験結果ではありません。

詳細な資料はこちら→「電波の医療機器等への影響に関する調査研究報告書」(PDF)。

要するに、携帯電話の電波は、「特定の機種のペースメーカーで、感度を最大限に高め、特定の角度で、物理的に近づけられる最大限に押し付け続ければ、ようやくめまいを発生させられる」程度の影響があるらしいです。
はっきり言って、故意に殺しにかかっても殺せない程度の影響しか与えられないわけですね。

というか、ペースメーカーは体内に埋め込まれているのですから、1cm未満の距離まで近づけるなんて、どんだけ頑張っても無理ですよね。
何らかの方法で肋骨突き破って携帯電話端末を体内にめり込ませれば、どうにか誤作動を起こさせることも可能ですが、電車内でそんなことをやっている狂人は見たことないです。


そんなわけで、「携帯電話電源オフ」というのが、いかに不合理なルールかわかります。
総務省の決めた、余裕をみて15cmっていう指針も、余裕持たせすぎです。

「携帯電話電源オフ」なんていう無駄なルールは、即刻撤廃すべきでしょう。


ところで、
ペースメーカー使用者らでつくる日本ペースメーカー友の会の日高進副会長は「影響はないと会員に周知をしているが、周知は行き届いていないし、古くからの装着者の不安を拭いきれない。電源オフは継続してほしい」
と言っています。
これまた非常に理不尽な意見です。

自分たちも影響しないとわかっていながら、不安だから規制してくれ、というものです。
「周知が行き届いていない」なら、周知させればよい。
というか、「電源オフ」というルールの存在が、逆に不安を煽っているのではないでしょうか。


人の行動は、他人に迷惑をかけない限り、自由であるべきです。

携帯電話を使う人は、上記の報告でもわかるとおり、誰にも(ペースメーカー利用者にも)迷惑をかけません。
そうである以上、それは個人の自由として認められるべきです(大きな声で通話するとかは別として)。

自由を制限するのであれば、それ相応の理由が必要ですが、携帯電話の電波に危険がない以上は、それを禁止する合理的な理由は存在しません。


こういう「不合理なルール」は、どんどん無くしていくべきですね。

では、今日はこの辺で。

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