2014年9月12日金曜日

脅迫と強要と恐喝(と、ついでに強盗)

司法書士の岡川です。

コンビニ店員に土下座を強要した男女4人くらいが恐喝容疑で逮捕されました。
他にもまだ逮捕者が出そうな状況です。

脅迫とか恐喝とか、人を脅しつける行為に対しては色んな名前がついています。
今日はこれらの違いを解説。

まずは前提として、「脅迫」の意味です。

「脅迫」とは、「害悪を加える旨を告知すること」のような意味だと定義されます。

そして、「脅迫罪」の害悪の加害対象は、「生命、身体、自由、名誉、財産」に限定されています。

これらに対して害を加える旨を告知することが「脅迫罪」にあたります。
「告知」は暗示(「暗い夜道は注意しろよ」とか)でもいいのですが、相手を畏怖させる程度のものでなければならないとされています。


脅迫した上で、「人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害」すれば、強要罪が成立します。
加害の対象は、脅迫罪と同じく「生命、身体、自由、名誉、財産」に限定されています。
悪さレベルが脅迫罪よりワンランク上になるので、法定刑も少し重くなります(最高で懲役3年。脅迫罪は最高で2年)。

ちなみに、脅迫ではなく、暴行を用いて「人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害」やった場合も強要罪です。


脅迫や暴行によって財物を要求することを「恐喝」といいます。
平たくいえば、「カツアゲ」というやつが恐喝です。
脅迫の加害対象は特に限定されておらず、恐喝すれば恐喝罪です。
脅迫しただけでなく、金も奪うので、悪さレベルは格段に上であり、法定刑も最高で懲役10年まで跳ね上がります。

コンビニ土下座事件では、土下座を要求する(これは強要罪)だけでなく、金品を要求したから、恐喝罪に問われているということです。


恐喝罪での脅迫は、「相手を畏怖させる程度」のものでなければなりませんが、さらにそれが「相手の反抗を抑圧する程度」になれば、成立する犯罪は脅迫罪から強盗罪にグレードアップする可能性があります。
ここまでくれば、文句なしに凶悪なので、法定刑もそれに合わせて最高で有期懲役の上限ぎりぎり20年になります。


その他にも、脅迫行為が要件となっている犯罪はいろいろあります。

善良な皆さんは、むやみやたらと他人に害悪を告知することはやめましょう。

では、今日はこの辺で。

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