前々回と前回で、相続欠格について書きました。
(おさらい)
被相続人を殺したり遺言書を偽造したりすれば、相続人の資格を失う。
他にも欠格事由はあるのですが(被相続人を脅して遺言を書かせるとか)細かいことは民法の条文を確認して下さい。
このような「相続欠格」の他にも、悪いことをしたら相続権を失うことがあります。
それが「推定相続人の廃除」の制度です(「排除」ではなく「廃除」です)。
これは、何かをすれば当然に相続人の資格を失う欠格事由とは異なり、被相続人が「こいつは相続人から除外する」という意思表示をすることで、相続権を奪うものです。
「相続人から除外したければ、遺言を書けばいいのでは?」と思われるかもしれませんが、廃除をすれば、遺言でも侵害できない権利、すなわち遺留分についても渡さないことになります。
子だろうが孫だろうが、こんな奴にびた一文くれてやるものか!という場合に使うのです。
なので、廃除できるのは、「遺留分を有する推定相続人」に限られます(それ以外の兄弟姉妹などに遺産を残したくなければ、遺言で対応可能だからです)。
さて、遺留分すら残さないという制度なので、ホイホイと誰でも廃除できるわけではありません。
廃除には要件が決められており、「被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったとき」に限定されています。
要件が少し抽象的ですが、解釈としてはかなり厳格に解されています。
廃除の手続としては、被相続人が家庭裁判所に請求することになります。
直接相手に「廃除する!」と告げても意味がありません。
これは相続放棄と似ていますね(相続放棄も、家庭裁判所に申述しなければいけません)。
あるいは、遺言の中で廃除の意思表示をすることも可能です。
そう簡単に認められるものではありませんが、よっぽどの事情がある場合は、遺言書を作るだけでなく、廃除についてもご検討ください。
では、今日はこの辺で。
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