一般的には、裁判所からの書類(例えば、期日呼出状とか)は、郵便物として郵便配達員が持っていくのですが、相手が受け取らない場合などに執行官に頼めば、執行官が相手方のところへ直々に持っていく手続をとることができます。
裁判書類の送達は、執行手続ではありませんが、これも執行官の仕事なのです。
これを執行官送達といいます。
といっても、あまり利用はされていません。
なんせ執行官に動いてもらう以上、手数料がかかります(前回ご紹介したとおり、執行官は利用者の手数料が収入となります)。
そして、たいていの場合、郵便で送れば事足りますので、書類を運ぶのにわざわざ数少ない執行官に動いていただく必要はないわけです。
最悪の場合、郵便物を相手が受け取らなくても手続は進められますので、判決をもらいたいだけなら、無理に相手に受け取ってもらわなくてもよい。
逆に、どうしても受け取ってもらって裁判所に出てきてもらいたいなら、執行官に持っていってもらうと良いということになります。
主に利用されるのは、「夜なら家にいるはずなのに!」という場合に、夜間(といっても、常識的な時間なので、夜の11時とか12時とかにはなりません)に持っていってもらうときです(夜間送達)。
夜にいきなり「執行官である!」と言って裁判所の職員が玄関に立ってたら、やっぱりびっくりして受け取っちゃいますよね。
(※「執行官である!」と言うかどうかは未確認です。)
さて、執行官の「お手紙配達業務」ですが、あまり知られてないところ(当社調べ)として、実は、裁判所からの書類だけでなく、私文書の送付もやってくれたりするのです。
それが、執行官法附則9条に規定されています。
(告知書等の送付についての暫定措置)
第9条 執行官は、当分の間、第1条に定めるもののほか、私法上の法律関係に関する告知書又は催告書の送付の事務を取り扱うものとする。
そもそも現行の執行官法ができる前(「執行官」ではなく「執達吏」「執行吏」であった時代)から、文書の送達事務は執行官の仕事でした。
執達吏規則には、執達吏の職務範囲として「裁判外の非訟事件に関する送達」が掲げられており、例として債権譲渡通知や賃貸借契約解約申入の告知などが挙げられています。
郵便制度が今ほど発達していなかった時代にできた制度ですので、重要な法律文書の送達には執行吏が活躍していた(あるいは、期待されていた)のでしょう。
で、今の時代であれば、別にそんなの郵便局に頼んでおけば足りるので、執行官の職務範囲から外すかどうか、というのが現行執行官法制定時に議論はあったのですが、とりあえず暫定措置として「当分の間」職務範囲として残ったわけです。
ま、「当分の間」とかいって、もう50年間も前の話ですけど。
結局、まだ見直しはされていないようです。
といっても、実際のところどれだけ利用されているのかは分かりません。
本当に受け付けてくれるんだろうか・・・?
皆さんも、機会があったら執行官に催告書の送付を頼んでみてくださいね。
では、今日はこの辺で。
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