2018年11月13日火曜日

債権法改正について(26)(保証4)

司法書士の岡川です。

債権法改正で、全体的に保証人の保護が強化されています。
その流れで、「事業に係る債務についての保証契約の特則」として、主債務者が事業者である場合の新たなルールがいくつか追加されています。
これは、今回の改正における大きな改正点のひとつです。

第465条の6 事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約は、その契約の締結に先立ち、その締結の日前1箇月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じない。

会社等の事業者が事業資金として貸付を受ける場合、個人が連帯保証人をつけるよう求められることも多いですが、その場合、連帯保証人(になる人)は、必ず公正証書で意思表示をしないといけないことになりました。
公正証書が作成されていないと、連帯保証契約が無効となります。
法人が保証人になる場合は除外されています(同条3項)。

事業をやっている友人から頼まれて、あまり深く考えないで連帯保証契約書にハンコを押してしまい、事業が失敗して連帯保証人として莫大な債務を負う…というのはよく聞く話です。
そういうことがないよう、事前に公証人による確実な意思確認を経なければならないことになりました。
公証人が何を確認するかというのは、同条2項に細かく定められています。


ただし、このルールは、事業と無関係な第三者が過度な負担を強いられないようにするために導入されたものです。
そのため、次のような人が保証人になる場合は適用されません(改正465条の9)。

・主債務者が会社の場合は、その取締役や執行役等、議決権の過半数を有する株主(株主が会社の場合、その会社の議決権の過半数を有する株主)等
・主債務者が個人の場合は、共同事業者、事業に従事している配偶者

つまり、零細企業で一般的に多く行われているような、「会社がお金を借りるときに社長が連帯保証人になる」という場合は、対象外です。
この場合は、従前どおり私文書で契約しても有効となります。
なお、そもそも現行法でも、保証契約は書面でしないといけませんので、口頭での契約は無効です。


事業に係る債務についての保証契約に関する保証人保護のための規定としてもうひとつ、保証の委託を受ける者に対する情報提供義務の規定が新設されました(465条の10)。
改正法で新設された情報提供義務には、全ての保証契約に関係するものもありますが、それに加えて、主債務者が事業者であるときは更に義務が上乗せされます。
これは、保証人になる前(契約締結時)の情報提供義務です。


第465条の10 主たる債務者は、事業のために負担する債務を主たる債務とする保証又は主たる債務の範囲に事業のために負担する債務が含まれる根保証の委託をするときは、委託を受ける者に対し、次に掲げる事項に関する情報を提供しなければならない。
一 財産及び収支の状況
二 主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況
三 主たる債務の担保として他に提供し、又は提供しようとするものがあるときは、その旨及びその内容

この規定に反して情報を提供しなかったり、あるいは誤った情報を提供したことで、誤認して保証契約を締結した場合、主債務者の情報提供義務違反を債権者が知っていたか知ることができたときは、保証人は、保証契約を取り消すことができます(同条2項)。


以上で、保証に関する改正は終わり。
保証に関する改正は、かなり条文が増えているのでじっくり読み直してみるのも良いでしょう。
私はしませんが。

では、今日はこの辺で。

2018年10月27日土曜日

債権法改正について(25)(保証3)

司法書士の岡川です。

今日は、大幅な改正があった根保証契約の話です。

通常の「保証」というのは、ざっくりいうと「特定の債務について保証人が肩代わりする」という制度です。

これに対して、「根保証」というのは、「ある一定の範囲の債務について保証人が肩代わりする」という制度です。

継続的に債務の発生と消滅が繰り返されるような関係(例えば、継続的に融資と返済を繰り返している銀行と会社)にあるとき、個々の債務が発生するたびに、毎回保証人との間でも保証契約を締結するというのは面倒なことです。
そんなときは、保証人が保証する債務を、「AとBの間の金銭消費貸借契約に基づく債務全部」のような決め方をして、その範囲に含まれる限り、保証人に請求できるようにしておけば便利です。

これが根保証です。

根保証は債権者や主たる債務者にとっては便利なのですが、その分保証人にとっては過度な責任を負わされる可能性があります。
通常の保証なら、最初から債務の額は分かったうえで保証契約を締結するわけですが、根保証の場合、最初に決めた範囲に含まれていれば全部保証人が保証しなければならないわけで、AとBの間の金銭消費貸借契約に基づく債務全部を主たる債務の範囲にしていれば、主たる債務者AがBから金を借りれば借りるだけ無限に保証債務も膨れ上がるわけです。

それはさすがにまずいということで、根保証契約には一定の規制が設けられています。

現行法では、「その債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務が含まれるもの(法人が保証人の場合を除く)」を「貸金等根保証契約」といい、貸金等根保証契約は、極度額(保証される債務の上限額)を定めなければ契約が無効になるとか、一定の要件が満たされればそれ以上債務が増えない(「確定」という)とか、いろいろ細かいルールが定められています。

保証人を特に保護する必要がある類型に限定してルールを厳しくしており、「債務の範囲に貸金等債務が含まれている」「保証人が法人でない」という縛りがあるわけです。

で、改正法では、この厳しいルールの対象を広げ、保証人が法人でないものを全て「個人根保証契約」と定義し、現行法で貸金等根保証契約にのみ適用されていた、極度額を定めないと無効とか確定の要件とかのルールが、個人根保証契約にも拡張して適用されるようになりました。

これにより、具体的に何が変わったかというと、例えば、家を借りるとき、多くの場合、連帯保証人が必要ですよね。
この連帯保証契約の債務の範囲は、賃借人が家を借りている間に発生する家賃全部なので、根保証契約なのです。

連帯保証人が個人であっても、債務の種類が賃料債務であって貸金債務でないため、現行法でいう「貸金等根保証契約」には該当しませんでしたが、改正法における「個人根保証契約」に該当します。
つまり、家賃の連帯保証契約にも、極度額の定めが必要になるわけです。
賃借人が家賃を払わない限り延々と連帯保証人に請求され続けるという事態が回避できるようになり、連帯保証人も過度な責任を負わなくて済みます。


細かく挙げれば色々変更があるのですが、大まかな趣旨としては、貸金等根保証契約に限られていた規制が個人根保証契約に拡張されたということで、あとはそれに対応した諸々の改正です。

では、今日はこの辺で。

2018年10月12日金曜日

債権法改正について(24)(保証2)

司法書士の岡川です。


ブログ更新頻度が月1回程度に落ち込んできました。
なかなか調べものしている時間がないというか、調べものはしてるんだけど調べるべきことが多いというかなんというか…。

今日も保証の話ですが、保証人から主たる債務者への求償権についての改正点です。

保証人が債務を弁済した場合を考えてみます。
債権者との関係でいえば保証契約に基づいて履行しただけの話なので、それはそれでいいとして、主たる債務者との関係では、本来は主たる債務者が支払うべきところを、保証人が肩代わりして支払ったことになります。

なので、当然っちゃ当然なのですが、保証人は主たる債務者に対して「代わりに支払っといたから、その分返せ」といえるわけです。
これを「求償」といいます。

では、どの範囲で求償できるかという問題。

例えば、1000万円の債務があったとして、保証人が現金で1000万円支払う代わりに、1500万円の価値のある土地を債権者に譲渡することで弁済に代えた場合(こういうのを代物弁済という)、消滅した債務は1000万円ですが、保証人が支払ったのは1500万円になります。

この場合、求償できるのは1000万円なのか1500万円なのか、現行法は明記していませんでしたが、改正法では、459条1項の括弧書きで、

「その財産の額がその債務の消滅行為によって消滅した主たる債務の額を超える場合にあっては、その消滅した額」

と追記されました。
上記の例でいえば、主たる債務者に求償できるのは1000万円になるわけです。
保証人からすれば、1500万円の物を提供して債務消滅させてあげたんだから1500万円返せと言いたくなるところですが、主たる債務者側から見れば、1000万円しか債務は無かったのに何で1500万円返さなあかんねん!って話ですね。


それから、保証人が債務の弁済期前に弁済した場合はどうなるか。

第459条の2 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務の弁済期前に債務の消滅行為をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、主たる債務者がその当時利益を受けた限度において求償権を有する。この場合において、主たる債務者が債務の消滅行為の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。
2 前項の規定による求償は、主たる債務の弁済期以後の法定利息及びその弁済期以後に債務の消滅行為をしたとしても避けることができなかった費用その他の損害の賠償を包含する。
3 第1項の求償権は、主たる債務の弁済期以後でなければ、これを行使することができない。

これは、改正法で新設された条文ですが、内容的には判例の明文化。
459条同様、債務者が利益を受けた以上に求償することはできないという意味では共通ですね。


求償権というのは、一定の要件を満たせば、事前に(つまり、自分が保証債務を履行するより前に)行使することもできます。
保証人は、主たる債務者に「後で代わりに債権者に支払うことになるから、先に俺に支払え」というわけです。
典型的には主たる債務者が破産した場合とか。

事前求償ができる場面のうち、改正法では「債務の弁済期が不確定で、かつ、その最長期をも確定することができない場合において、保証契約の後10年を経過したとき。」というのが削除されました。
実務上使われていない(使えない)類型だったようです。


ちなみにここまでは、「委託を受けた保証人」の話。
つまり、債務者から保証人になってくれと言われて保証人になった場合です。

ただ、世の中には「委託を受けない保証人」というのもいます。
頼んでもないのに勝手に保証人になってくれるなんてステキですね。
実際は、家族がなってたりとか、営利目的なら債権者から保証料をもらってやってたりするわけですが。

この場合のルールは、基本的には現行法と変わっていません(規定は変わりましたが)。


求償関係で実質的な変更があった部分はこれくらいですね。

では、今日はこの辺で。

2018年9月13日木曜日

債権法改正について(23)(保証1)

司法書士の岡川です。

保証に関する規定は、今回の債権法改正で大きく変更された点のひとつです。

まずは、現行法上の一般的な理解や判例を明文化したのが、448条2項(「主たる債務の目的又は態様が保証契約の締結後に加重されたときであっても、保証人の負担は加重されない」)とか457条2項(「保証人は、主たる債務者の債権による相殺をもって債権者に対抗することができる」)の改正ですね。

457条3項に新設された、

第457条3項 主たる債務者が債権者に対して相殺権、取消権又は解除権を有するときは、これらの権利の行使によって主たる債務者がその債務を免れるべき限度において、保証人は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。

というのも、趣旨は同じことです。

ところで、連帯保証については、現行法上、連帯債務の規定が多く準用されています。
現行458条では、

・連帯債務者の一人に対する履行の請求(434条)
・連帯債務者の一人との間の更改(435条)
・連帯債務者の一人による相殺等(436条)
・連帯債務者の一人に対する免除(437条)
・連帯債務者の一人との間の混同(438条)
・連帯債務者の一人についての時効の完成(439条)
・相対的効力の原則(440条)

の各規定が、連帯保証の場合に準用されることになっています。

このうち、連帯債務における請求、免除、時効の絶対効の規定は削除されました。
また、そもそも連帯保証人には負担部分がない(最終的には全部主債務者に求償できる)ので、負担部分を前提とする436条2項(改正法439条2項)の規定は、準用する意味がありません。

そこで、改正法458条では、準用する連帯債務の規定は、

・連帯債務者の一人との間の更改(改正438条)
・連帯債務者の一人による相殺等(改正439条1項)
・連帯債務者の一人との間の混同(改正440条)
・相対的効力の原則(改正441条)

になりました。
ここまでは条文の整理といった感じですね。



改正法では、保証人の保護を厚くするために、いくつかのルールが新設又は変更されています。

保証に関して新設されたルールとしては、まず、保証人に対する「情報提供義務」があります。

改正法で新設された「情報提供義務」には、一般的な(全ての保証について適用される)情報提供義務としては、「主たる債務の履行状況に関する情報の提供義務」と、「主たる債務者が期限の利益を喪失した場合における情報の提供義務」の2種類があります。

まずは、主債務者の履行状況に関する情報提供義務。

第458条の2 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない。

保証というのは、(少なくとも)当事者が3人出てきます。

例えば、BがAから金を借りて、Cが保証人になったという場合、Aが債権者、Bが主債務者、Cが保証人ですね。
このうち、主たる債務(借金)については、債権者と主債務者の間の契約(金銭消費貸借契約)であって、厳密にいうとCはこの契約の当事者にはなりません。
Cは、あくまでもAとCの間で締結される(Bの債務を保証するという)保証契約の当事者にすぎない。

そうすると、AB間の金銭消費貸借契約の履行状況がどうなっているのか、現在どれだけ滞納しているのかというのは、Cにとっては、自分が当事者になっていないAC間の契約関係における問題ということになります。

この場合、債権者に問い合わせて、任意に答えてくれたらいいですが、現行民法では明確な回答義務は規定されていません。
回答すべき義務がない以上、逆にAB間の守秘義務の問題も絡んで、債権者としては第三者であるCへの情報提供に消極的にならざるをえない。

そうすると、保証人は、自分が知らないうちに借金返済をさんざん滞納された後、まとめて急に債権者から請求される、ということも生じます。

そこで、改正法では、債権者は、保証人から請求されれば回答しないといけないと明確に義務を定めたわけです。


次に、主債務者が期限の利益を喪失した場合の情報提供義務。

主たる債務者が期限の利益を喪失した場合における情報の提供義務

第458条の3 主たる債務者が期限の利益を有する場合において、その利益を喪失したときは、債権者は、保証人に対し、その利益の喪失を知った時から2箇月以内に、その旨を通知しなければならない。
2 前項の期間内に同項の通知をしなかったときは、債権者は、保証人に対し、主たる債務者が期限の利益を喪失した時から同項の通知を現にするまでに生じた遅延損害金(期限の利益を喪失しなかったとしても生ずべきものを除く。)に係る保証債務の履行を請求することができない。
3 前二項の規定は、保証人が法人である場合には、適用しない。

何らかの債務(例えば、お金を支払う義務)があっても、必ずしも全て直ちに支払う義務を負っているとは限りません。
「(将来の)何月何日に支払う」とか「5年間で毎月○円ずつ支払う」とかいう債務はよくあります。
この場合、債務者にとっては、定められた支払時期までは支払わなくて良い、という利益を有しているわけです。
これを、「期限の利益」といいます。

で、期限の利益というのは、いろんな理由で喪失します。
典型的には、履行遅滞になった場合とかですね。
「毎月○万円ずつ支払う」という契約でも、「1回でもこの支払いを怠ったら、直ちに残額を一括で支払う」というような条項が付されていることがあります。
これを「期限の利益喪失約款」とか「懈怠約款」とかいいますが、「直ちに一括で」となるということは、上記の期限の利益を喪失したということになります。

債務者が期限の利益を失うということは、その債務を保証している保証人にとっても利益を失うことを意味します。
そして、期限の利益を喪失すると、その時点から遅延損害金も発生し続けることになるわけで、期限の利益を喪失したことを知らずに放置していたら、いつの間にか遅延損害金が加算されていき、保証人が気づいたときには、債務総額が膨大なことに…なんていうことも起こりうるわけです。

そこで、「保証人に対して通知するまでは、期限の利益を喪失したことで前倒しで発生した遅延損害金は請求できない」というルールができたわけです。

ただし、保証会社等、法人が保証人の場合はこの規定は適用されません。
債務者の履行状況なんか自分で管理しとけば済む話なので、そこまで保護する必要もないという判断でしょう。


情報提供義務は、他にもありますが、ちょっと条文が離れている(別の枠組みの中にある)ので後回しにします。

では、今日はこの辺で。

2018年8月10日金曜日

債権法改正について(22)(不可分債権と連帯債権)

司法書士の岡川です。

債権者複数の場合、現行法では分割債権と不可分債権に分類されていますが、さらに「連帯債権」という類型が新設されました。

連帯債権とは、複数の債権者がいる場合に、各債権者がそれぞれ独立して全部を請求できるが、一部の債権者が受領すれば債権者全員について債権が消滅するという性質のものです。
現行法上、「連帯債権」という用語は存在しませんが、今でも概念的にはそういうものもあると考えらます。

例えば、転借人に対する賃貸人と転貸人の権利などは、一方の債権者が弁済を受ければ債権全体が消滅する関係にありますので、こういうのを講学上は連帯債権という(ことができる)らしい。
そして連帯債権には、連帯債務の規定が類推適用されると解されています。

でまあ改正法は、これをハッキリと「連帯債権」として定義したものです。


ところで現行法では、「債権の目的がその性質上又は当事者の意思表示によって不可分である場合」を不可分債権としており、連帯債権という概念を新設するなら、不可分債権とどう振り分けるかが問題となります。

改正法では、「債権の目的がその性質上不可分である場合」のみを不可分債権とし、「当事者の意思表示によって不可分である場合」は不可分債権の概念から除外しています。
他方、「債権の目的がその性質上可分である場合において、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債権を有するとき」を連帯債権とし、連帯債権を中心として債権者複数の場合のルールを定める形になっています。

第432条 債権の目的がその性質上可分である場合において、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債権を有するときは、各債権者は、全ての債権者のために全部又は一部の履行を請求することができ、債務者は、全ての債権者のために各債権者に対して履行をすることができる。

第433条 連帯債権者の一人と債務者との間に更改又は免除があったときは、その連帯債権者がその権利を失わなければ分与されるべき利益に係る部分については、他の連帯債権者は、履行を請求することができない。

第434条 債務者が連帯債権者の一人に対して債権を有する場合において、その債務者が相殺を援用したときは、その相殺は、他の連帯債権者に対しても、その効力を生ずる。

第435条 連帯債権者の一人と債務者との間に混同があったときは、債務者は、弁済をしたものとみなす。

第435条の2 第432条から前条までに規定する場合を除き、連帯債権者の一人の行為又は一人について生じた事由は、他の連帯債権者に対してその効力を生じない。ただし、他の連帯債権者の一人及び債務者が別段の意思を表示したときは、当該他の連帯債権者に対する効力は、その意思に従う。


そして、このうち、432条、434条、435条の2が、不可分債権に準用されます。

第428条 次款(連帯債権)の規定(第433条及び第435条の規定を除く。)は、債権の目的がその性質上不可分である場合において、数人の債権者があるときについて準用する。

432条は、現行法と同様の基本ルールで、434条は、相殺の絶対効を定めています。
435条の2は、相対効の原則を定めた規定ですね。

433条は準用されず、更改・免除については、現行429条がそのまま残り、債権者の1人について更改・免除があっても、他の債権者は全額請求できる(ただし、更改・免除された部分の利益を債務者に返還しないといけない)というルールを定めています。
連帯債権と扱いが違うのは、連帯債権は性質上は可分なので、いったん全額請求して返還するのではなく、最初から更改・免除された部分については請求できないとしたものです。

435条が準用されていないことで、債権者の1人との間の混同は、不可分債権では絶対効を有しないことになります。

結局のところ、現行法との主な違いは、相殺の絶対効が創設されたことくらいでしょうか。

どこがどう改正されたのか、条文構成がガラッと変わっているのでややこしいけど、実はあんまり変わってないという…。


では、今日はこの辺で。