2019年1月7日月曜日

謹賀新年(2019年)

皆様あけましておめでとうございます

司法書士の岡川です。

旧年中は、このブログやら公式ホームページやらにご訪問いただきありがとうございます。
なかなか更新する時間(というか、じっくり調べものをする時間)がなく、相変わらずノロノロ更新ですが、少しずつ投稿していこうと思います。

相変わらず、同業者から「見てるで」とお声がけいただくことが多いマニアックなブログになっておりますが、今年も変わらず、知って得する情報や別にそうでもない情報を気ままに垂れ流す所存です。
今年の目標 なるべく早いうちに債権法改正シリーズ完結


本年もどうぞよろしくお願いいたします。

平成31年元旦(+6日)
司法書士 岡川敦也

2018年11月26日月曜日

【告知】知って安心!遺言と成年後見制度(茨木市)

司法書士の岡川です。

毎年恒例の、一般市民向け成年後見セミナー・無料相談会(共催:大阪司法書士会、リーガルサポート大阪支部)が今年も行われます。
北摂ブロック(高槻、茨木、吹田、摂津、島本)では、今年度は茨木市で2回開催します。

まずは、第1回目の告知です。

司法書士による法律講座・無料相談会「知って安心!遺言と成年後見制度」
日時:平成30年12月2日(日)
場所:茨木市市民総合センター(クリエイトセンター)
申込:法律講座は申込不要、相談会は事前申込優先(先着順)

ちなみに、今年度第2回目は、来年2月16日に総持寺の庄栄コミュニティーセンター(阪急総持寺駅から徒歩すぐ)で開催予定ですので、12月の予定が合わない方は、そちらもどうぞ(内容は同じです)。

成年後見制度について気になっている方など、事前申し込み不要ですので、お気軽にお越しください。

詳細は、リーガルサポート大阪支部のホームぺージに掲載のチラシをどうぞ。

知って安心!遺言と成年後見制度」(PDF)

では、今日はこの辺で。

2018年11月13日火曜日

債権法改正について(26)(保証4)

司法書士の岡川です。

債権法改正で、全体的に保証人の保護が強化されています。
その流れで、「事業に係る債務についての保証契約の特則」として、主債務者が事業者である場合の新たなルールがいくつか追加されています。
これは、今回の改正における大きな改正点のひとつです。

第465条の6 事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約は、その契約の締結に先立ち、その締結の日前1箇月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じない。

会社等の事業者が事業資金として貸付を受ける場合、個人が連帯保証人をつけるよう求められることも多いですが、その場合、連帯保証人(になる人)は、必ず公正証書で意思表示をしないといけないことになりました。
公正証書が作成されていないと、連帯保証契約が無効となります。
法人が保証人になる場合は除外されています(同条3項)。

事業をやっている友人から頼まれて、あまり深く考えないで連帯保証契約書にハンコを押してしまい、事業が失敗して連帯保証人として莫大な債務を負う…というのはよく聞く話です。
そういうことがないよう、事前に公証人による確実な意思確認を経なければならないことになりました。
公証人が何を確認するかというのは、同条2項に細かく定められています。


ただし、このルールは、事業と無関係な第三者が過度な負担を強いられないようにするために導入されたものです。
そのため、次のような人が保証人になる場合は適用されません(改正465条の9)。

・主債務者が会社の場合は、その取締役や執行役等、議決権の過半数を有する株主(株主が会社の場合、その会社の議決権の過半数を有する株主)等
・主債務者が個人の場合は、共同事業者、事業に従事している配偶者

つまり、零細企業で一般的に多く行われているような、「会社がお金を借りるときに社長が連帯保証人になる」という場合は、対象外です。
この場合は、従前どおり私文書で契約しても有効となります。
なお、そもそも現行法でも、保証契約は書面でしないといけませんので、口頭での契約は無効です。


事業に係る債務についての保証契約に関する保証人保護のための規定としてもうひとつ、保証の委託を受ける者に対する情報提供義務の規定が新設されました(465条の10)。
改正法で新設された情報提供義務には、全ての保証契約に関係するものもありますが、それに加えて、主債務者が事業者であるときは更に義務が上乗せされます。
これは、保証人になる前(契約締結時)の情報提供義務です。


第465条の10 主たる債務者は、事業のために負担する債務を主たる債務とする保証又は主たる債務の範囲に事業のために負担する債務が含まれる根保証の委託をするときは、委託を受ける者に対し、次に掲げる事項に関する情報を提供しなければならない。
一 財産及び収支の状況
二 主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況
三 主たる債務の担保として他に提供し、又は提供しようとするものがあるときは、その旨及びその内容

この規定に反して情報を提供しなかったり、あるいは誤った情報を提供したことで、誤認して保証契約を締結した場合、主債務者の情報提供義務違反を債権者が知っていたか知ることができたときは、保証人は、保証契約を取り消すことができます(同条2項)。


以上で、保証に関する改正は終わり。
保証に関する改正は、かなり条文が増えているのでじっくり読み直してみるのも良いでしょう。
私はしませんが。

では、今日はこの辺で。

2018年10月27日土曜日

債権法改正について(25)(保証3)

司法書士の岡川です。

今日は、大幅な改正があった根保証契約の話です。

通常の「保証」というのは、ざっくりいうと「特定の債務について保証人が肩代わりする」という制度です。

これに対して、「根保証」というのは、「ある一定の範囲の債務について保証人が肩代わりする」という制度です。

継続的に債務の発生と消滅が繰り返されるような関係(例えば、継続的に融資と返済を繰り返している銀行と会社)にあるとき、個々の債務が発生するたびに、毎回保証人との間でも保証契約を締結するというのは面倒なことです。
そんなときは、保証人が保証する債務を、「AとBの間の金銭消費貸借契約に基づく債務全部」のような決め方をして、その範囲に含まれる限り、保証人に請求できるようにしておけば便利です。

これが根保証です。

根保証は債権者や主たる債務者にとっては便利なのですが、その分保証人にとっては過度な責任を負わされる可能性があります。
通常の保証なら、最初から債務の額は分かったうえで保証契約を締結するわけですが、根保証の場合、最初に決めた範囲に含まれていれば全部保証人が保証しなければならないわけで、AとBの間の金銭消費貸借契約に基づく債務全部を主たる債務の範囲にしていれば、主たる債務者AがBから金を借りれば借りるだけ無限に保証債務も膨れ上がるわけです。

それはさすがにまずいということで、根保証契約には一定の規制が設けられています。

現行法では、「その債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務が含まれるもの(法人が保証人の場合を除く)」を「貸金等根保証契約」といい、貸金等根保証契約は、極度額(保証される債務の上限額)を定めなければ契約が無効になるとか、一定の要件が満たされればそれ以上債務が増えない(「確定」という)とか、いろいろ細かいルールが定められています。

保証人を特に保護する必要がある類型に限定してルールを厳しくしており、「債務の範囲に貸金等債務が含まれている」「保証人が法人でない」という縛りがあるわけです。

で、改正法では、この厳しいルールの対象を広げ、保証人が法人でないものを全て「個人根保証契約」と定義し、現行法で貸金等根保証契約にのみ適用されていた、極度額を定めないと無効とか確定の要件とかのルールが、個人根保証契約にも拡張して適用されるようになりました。

これにより、具体的に何が変わったかというと、例えば、家を借りるとき、多くの場合、連帯保証人が必要ですよね。
この連帯保証契約の債務の範囲は、賃借人が家を借りている間に発生する家賃全部なので、根保証契約なのです。

連帯保証人が個人であっても、債務の種類が賃料債務であって貸金債務でないため、現行法でいう「貸金等根保証契約」には該当しませんでしたが、改正法における「個人根保証契約」に該当します。
つまり、家賃の連帯保証契約にも、極度額の定めが必要になるわけです。
賃借人が家賃を払わない限り延々と連帯保証人に請求され続けるという事態が回避できるようになり、連帯保証人も過度な責任を負わなくて済みます。


細かく挙げれば色々変更があるのですが、大まかな趣旨としては、貸金等根保証契約に限られていた規制が個人根保証契約に拡張されたということで、あとはそれに対応した諸々の改正です。

では、今日はこの辺で。

2018年10月12日金曜日

債権法改正について(24)(保証2)

司法書士の岡川です。


ブログ更新頻度が月1回程度に落ち込んできました。
なかなか調べものしている時間がないというか、調べものはしてるんだけど調べるべきことが多いというかなんというか…。

今日も保証の話ですが、保証人から主たる債務者への求償権についての改正点です。

保証人が債務を弁済した場合を考えてみます。
債権者との関係でいえば保証契約に基づいて履行しただけの話なので、それはそれでいいとして、主たる債務者との関係では、本来は主たる債務者が支払うべきところを、保証人が肩代わりして支払ったことになります。

なので、当然っちゃ当然なのですが、保証人は主たる債務者に対して「代わりに支払っといたから、その分返せ」といえるわけです。
これを「求償」といいます。

では、どの範囲で求償できるかという問題。

例えば、1000万円の債務があったとして、保証人が現金で1000万円支払う代わりに、1500万円の価値のある土地を債権者に譲渡することで弁済に代えた場合(こういうのを代物弁済という)、消滅した債務は1000万円ですが、保証人が支払ったのは1500万円になります。

この場合、求償できるのは1000万円なのか1500万円なのか、現行法は明記していませんでしたが、改正法では、459条1項の括弧書きで、

「その財産の額がその債務の消滅行為によって消滅した主たる債務の額を超える場合にあっては、その消滅した額」

と追記されました。
上記の例でいえば、主たる債務者に求償できるのは1000万円になるわけです。
保証人からすれば、1500万円の物を提供して債務消滅させてあげたんだから1500万円返せと言いたくなるところですが、主たる債務者側から見れば、1000万円しか債務は無かったのに何で1500万円返さなあかんねん!って話ですね。


それから、保証人が債務の弁済期前に弁済した場合はどうなるか。

第459条の2 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務の弁済期前に債務の消滅行為をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、主たる債務者がその当時利益を受けた限度において求償権を有する。この場合において、主たる債務者が債務の消滅行為の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。
2 前項の規定による求償は、主たる債務の弁済期以後の法定利息及びその弁済期以後に債務の消滅行為をしたとしても避けることができなかった費用その他の損害の賠償を包含する。
3 第1項の求償権は、主たる債務の弁済期以後でなければ、これを行使することができない。

これは、改正法で新設された条文ですが、内容的には判例の明文化。
459条同様、債務者が利益を受けた以上に求償することはできないという意味では共通ですね。


求償権というのは、一定の要件を満たせば、事前に(つまり、自分が保証債務を履行するより前に)行使することもできます。
保証人は、主たる債務者に「後で代わりに債権者に支払うことになるから、先に俺に支払え」というわけです。
典型的には主たる債務者が破産した場合とか。

事前求償ができる場面のうち、改正法では「債務の弁済期が不確定で、かつ、その最長期をも確定することができない場合において、保証契約の後10年を経過したとき。」というのが削除されました。
実務上使われていない(使えない)類型だったようです。


ちなみにここまでは、「委託を受けた保証人」の話。
つまり、債務者から保証人になってくれと言われて保証人になった場合です。

ただ、世の中には「委託を受けない保証人」というのもいます。
頼んでもないのに勝手に保証人になってくれるなんてステキですね。
実際は、家族がなってたりとか、営利目的なら債権者から保証料をもらってやってたりするわけですが。

この場合のルールは、基本的には現行法と変わっていません(規定は変わりましたが)。


求償関係で実質的な変更があった部分はこれくらいですね。

では、今日はこの辺で。