オバマ大統領が「マリフアナにアルコール以上の危険ない」と発言したことで、少しだけ話題になっています。
この発言は、別に驚くようなことでも異常なことでもなくて、大麻がアルコールより危険ではないことは、従来から指摘されていることで、実際に先進国においても、アメリカのいくつかの州やヨーロッパのいくつかの国で、一定の範囲での大麻の自己使用が合法化されています。
日本でも「大麻の自己使用」について、非犯罪化すべしとの主張は根強く存在します(厳密にいうと、日本の法制度上、大麻の「吸引」自体は合法であり、「所持」が犯罪とされています。参照→「大麻を吸引した小学生の罪」)。
「大麻合法化」の話題になると、「大麻には依存性がある」とか「大麻には心身に悪影響を与える」という非常に単純な批判が出ますが、合法化(非犯罪化)を主張する場合も、「大麻に危険性は無い」と主張する人はあまりいません。
つまり、危険性が有るか無いかというのは、問題になりません(この点は「有る」ということで異論はありません)。
合法化(非犯罪化)のポイントは、「現に『合法な薬物』として認められているアルコールやタバコよりも危険性が小さい」ということです。
大麻の危険性が問題だというのであれば、それ以上に危険なアルコールやタバコが認められているのはなぜなのか。
アルコールやタバコが認められているならば、大麻が禁止される理由はないのではないか。
これが大麻合法化(非犯罪化)の論拠です。
さらにいうならば、たとえ心身に影響を与えるものだとしても、自分で吸う分には自己責任だ、ということも根拠です。
これに対し、「大麻の使用が入り口となって、より強力な薬物使用に繋がる」という反論(これをゲートウェイドラッグ理論といいます)がなされます。
ところが、やはりこれも反論としてピントがずれていて、ゲートウェイとなり得るアルコールやタバコが認められていて、なぜ大麻が認められないのか、という点に答えを与えていません。
一般的に、タバコもゲートウェイドラッグとして挙げられているのです。
それから、暴力団の資金源になるという点については、非合法だから非合法な組織の収入源になるわけで、むしろ、合法的に栽培できれば合法的な組織の収入になるだけです。
タバコ同様、大麻税をかければ、税収にも貢献しますね。
大麻合法化(非犯罪化)のデメリットとしては、大麻が蔓延することで、社会的コスト(生産性の低下、医療費の増大などなど)がかかることです。
これは確かに否定できないのですが、それこそまさに「タバコと一緒」です。
このように、他の薬物との比較で考えると、「成人が、自己の判断で大麻を吸うこと(その前段階として所持すること)」を、本当に刑罰をもって禁止すべきことなのか、もう少しきちんと議論されるべきだと思います。
また、全く別の観点でいえば、およそ薬物犯罪(自己使用)というのは、仮にそれを抑止しようとしても、刑罰(例えば刑務所に放り込む)ではあまり効果がないとされており、刑罰を科すよりむしろ治療をすべきであると考えられています。
この点からも、規制するにしても、もっと他の方法が適切なのではないか、ということができます。
大麻に限らず、既に禁止されていることを合法化するというのは、かなりの抵抗があるものです。
したがって、今から新たに何かを規制するという場合も、慎重にならなければならないのです。
規制するのは簡単ですが、それを解禁するのは、難しい。
立法者や、それを選ぶ国民も、これを忘れてはなりません。
では、今日はこの辺で。
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