2014年2月2日日曜日

後見開始の申立人になれるのは誰か

司法書士の岡川です。

成年後見は、家庭裁判所による後見等開始の審判によって開始します。
つまり、成年後見制度を利用しようと思えば、家庭裁判所に審判をしてもらわなければいけません。

しかし、支援を必要としている人を裁判所が積極的に探し出して、勝手に審判をしてくれることはありません。
必ず誰かが、後見開始の審判を求める「申立て」をしなければなりません。
訴訟とか離婚調停とか破産手続とか、他の多くの制度と同様に、裁判所というのは申立てがあって初めて動いてくれるのです。
成年後見制度も例外ではありません。

ちなみに、それらの申立手続きをサポートするのが司法書士の仕事です。
独占業務ですので、司法書士以外の人(行政書士などの他士業者も含む)が行うことは犯罪です。

この申立てですが、当然ですが誰でもできるというわけではありません。
近所の世話好きの人が「あそこに住んでるおじいちゃん、財産管理が不安だから後見申立てしてあげよう」とか思っても、裁判所は受け付けてくれません。
もちろん、そんな依頼を受けても、司法書士は申立書の作成をすることはできません(他の方法をアドバイスすることになるでしょう)。

基本的に、後見開始の申立てをすることができるのは、本人と四親等内の親族です。
意外かもしれませんが、本人が「私に後見人をつけて下さい」と申立てをすることも可能です。
実際に、全体の1割弱が本人による申立てとなっています。
もちろん、難しい手続きをすべて本人が行うことは困難ですので、そこは全て司法書士(あるいは弁護士)がサポートすることになりますが、本人であっても、後見開始の意思があって、それを裁判所に表示できるのであれば、申立人になることができるのです。
特に、保佐類型や補助類型の場合、本人にそのような意思表示が可能である事例は少なくありません。

それから、最も一般的なのは、親族ですね。
これも、遠い親せきとかでは不可能で、四親等内という制限があります。
直系なら、玄孫や高祖父母まで、傍系なら従兄弟や甥姪の子、祖父母の兄弟までです。
また、特殊な例としては、既に保佐人や補助人がついているときに被保佐人や被補助人に他の類型(後見など)の審判をしようという場合、保佐人や補助人が申立人になることもできます。

では、本人が重度の精神疾患で意思表示ができそうになく、親戚もいないような場合はどうなるのでしょうか。

この話は次回書きます。

なお、申し立てにかかる費用については、過去に書きましたので参考に。
→「成年後見の申立てにかかる費用

では、今日はこの辺で。

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成年後見シリーズ
第1回「成年後見制度入門
第2回「法定後見の類型
第3回「任意後見契約について
第4回「後見終了後の問題
第5回「後見人には誰がなるか?
第6回「成年後見制度を利用するには?
番外編「成年後見の申立てにかかる費用
番外編2「成年後見の申立てにかかる時間
(このほかにも、成年後見についての記事はありますので、右上の検索窓で検索してみてください)

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