「民事と刑事」でも書きましたが、今日は「訴える」ということの法律上の意味について確認しておきましょう。
日本語の意味としては、「上司に訴える」とか「医者に訴える」といった具合に、何かを第三者に申し出ることをいいます。
法律用語としては、「訴」とか「訴え」という語は、裁判所における訴訟手続を求める申立てについて用いられます。
「訴訟」の「訴」ですね。
何か被害を受けたときに相手を「訴える」のは、正確には民事訴訟法上の「訴えの提起」のことをいいます。
「訴えの提起」を略して「提訴」ということがあります。
民事事件というのは、当事者(私人)同士の争いのことです。
これを、裁判所で解決しようとすれば、当事者が「訴える」ことができます。
この「訴えの提起」によって開始するのは、民事訴訟です。
これに対し、加害行為が「犯罪」であった場合、犯罪者を裁くよう求めて裁判所に「訴える」のは、刑事訴訟法上の「公訴の提起」です。
「公訴」というのは刑事裁判を求める訴えのことです。
「公訴の提起」のことを略して「起訴」といいます。
公訴の提起は、検察官のみが行うことができますので、例えば被害者が「犯罪者を処罰すること」を求めて「訴える」ことはありません。
検察官のみに公訴権がある以上、被害者が処罰を求めて直接裁判所に訴えることはできませんが、検察官に対し、「『あいつを訴えてくれ』と訴える」ことは可能です。
これが「告訴」です。
告訴は、検察官か警察官にします(警察官に告訴しても、最終的に起訴するのは検察官です)。
つまり、一般の市民が「犯罪者を訴える」場合、
民事訴訟を求めて裁判所に「訴える」(訴えの提起)
のか、それとも、
刑事訴訟を求めて検察官に「『訴えてくれ』と訴える」(告訴)
のかは意識しなければなりません。
もちろん、その両方をやっても構いませんが、少なくとも「裁判所に対して処罰を求めて訴える」(起訴)ことはできませんので、気を付けましょう。
なお、被害者以外が「あいつを起訴しろ」と(検察や警察に)申し立てることを「告発」といいます。
では、今日はこの辺で。
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