2014年8月14日木曜日

法律行為入門


司法書士の岡川です。

夏休みなので(?)、基本に立ち戻って民法の入門的な話でもしましょう。
法学部1年生の皆さんには、前期の復習ですね。
法律系資格の試験勉強をしてるような人にとっては、疎かににしがちな基本的な「考え方」の解説です。


以前「法律行為」という概念を紹介しましたが、例えば「契約」というのが典型的な法律行為です。

契約上のトラブルに代表されるように、私法上の紛争の多くがこの法律行為をめぐって発生します。
もちろん、不法行為や相続争いのような、法律行為と関係のない紛争も多々ありますが。

法律行為とは、「意思表示を主たる要素とする私法上の法律要件」と定義することができます。

私法関係でも公法関係でも、法律関係(社会生活関係のうち、法の規律を受けるもの)は、「要件→効果」という枠組みで捉える事ができます。
例えば、刑法でも、犯罪成立要件を満たす場合に刑罰という効果が規定されています。

法律行為もこの「要件」にあたるもので、「法律要件」と対になるのが「法律効果」です。
私法上の法律効果とは、権利の変動(発生・変更・消滅)をいいます。

例えば、売買契約は法律行為の一種なので、「AがBに甲土地を売却する」という契約が有効に成立すれば、「甲土地の所有権がAからBに移転する」という法律効果が発生する、といった具合です。


そして、この法律行為で問題になる場面を分析的にみてみると、

1.そもそも法律行為が成立したのか(成立要件)
2.成立した法律行為は有効か(有効要件)
3.有効に成立した法律行為の効果が本人に帰属したか(効果帰属要件)
4.有効に成立した法律行為の効力は実際に発生したのか(効力発生要件)
5.法律効果の発生を主張することができるか(対抗要件)

といった段階に分けて考えることができます。

何か契約上のトラブルが生じたときに、「どのレベルで問題が生じているのか?」を正確に把握することが大切になります。

それぞれの要件については、長くなるので次回に回します。

では、今日はこの辺で。

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法律行為入門シリーズ
・法律行為入門 ← いまここ
法律行為入門その2(成立要件)
法律行為入門その3(有効要件)
法律行為入門その4(効果帰属要件・効力発生要件・対抗要件)
(こちらも参考)
法律行為について
「準法律行為」について

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