2014年9月17日水曜日

「過失」の意味

司法書士の岡川です。

故意」と並んで、重要な概念が「過失」です。

民法(私法)上は、不法行為の要件として「故意又は過失」となっている(過失責任の原則)だけでなく、不法行為責任以外にも「過失」が要件となっている規定はたくさんあります。
民法の条文では、「故意」は7回しか出てきませんが、「過失」は36回も出てきます。

刑法では、故意犯処罰の原則がありますが、その例外として過失犯の規定があり、当たり前ですが過失犯の成立には過失が必要になります。


さて、一般的に「故意」が「わざと」という意味であったように、「過失」というのは一般的には「不注意」という意味です。
古典的には、「結果を予見可能であるのに予見しなかったこと」(予見可能性)が過失と考えられていました。

結果が予見できて、かつ、その結果を認容していればそれは「故意」となりますが、結果が発生することが分かってたのに十分に注意を払わず結果を引き起こしたら、それが過失だというわけです。

現在では、単に予見可能性があるだけでなく、予見が可能であることを前提に、「結果回避義務」に違反することが過失であるという考え方が一般的となっています(刑法では、「新過失論」といいます。これに対して、前述の予見可能性を中心とする過失論を「旧過失論」といいます)。

もっとも、過失については民法上も刑法上も学説が対立しており、何が「一般的」な理解なのかを決めるのは難しいのですが・・・。

この考え方によれば、結果を予見することができ(予見可能性)、回避することもでき(結果回避可能性)、回避すべきである(結果回避義務)にもかかわらず、それを怠った(結果回避義務違反)ことで過失が成立します。

過失については、色々書けそうですが、書けば書くほど難しくなるので、とりあえずここで終了しておきます。

では、今日はこの辺で。

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