ネットをよく利用される方はご存知でしょうが、ここ数年で段階的に著作権法が改正され、現行法では、違法にアップロードされた音楽をダウンロードする行為は違法とされています。
経緯をおさらいすると、もともとは、たとえ違法にアップロードされたコンテンツであっても、それを私的にダウンロードする行為だけであれば、「私的複製」の範囲として適法行為とされていました。
しかし、レコード協会等を中心に規制を求める声が強まり、平成22年からこれが違法化されました。
さらに「違法化だけでは生ぬるい!」というレコード協会等の熱心な働きかけにより、昨年から違反者に最大で懲役2年の刑事罰が科されるようになったのです。
それから1年…。
違法DL罰則化 回復しない音楽売り上げが示すもの(産経新聞)
音楽の違法ダウンロード(DL)に罰則を設けたのに、1年たっても売り上げが回復しない-。音楽業界からの強い要望を受けて昨年10月から改正著作権法が施行されたが、期待された音楽CDや配信の売り上げ増効果が出ていないことがネットで話題となっている。
そもそも、違法にアップロードされた音楽をダウンロードする層は、「タダだから聞く」のであって、逆にいえば、「タダじゃないなら別に聞かない」ような人が多く占めているであろうことは、容易に推測されます。
したがって、もし違法なコンテンツのダウンロードを禁止されれば、もはや「じゃあ、聞かない」となるだけで「では、正規品を購入しようか」という方向に向かうわけがないのです。
本当にその音楽なりアーティストなりを気に入って音楽を聴こうとする層は、たとえネット上に転がっていたとしても、きちんと正規品を購入するものです。
こういう考え方は、最初にダウンロード行為を違法化するという話が出たときから、ネット上のユーザーの間では通説となっていたと思います。
違法化しても、売上回復には絶対に結びつかない、というのが大方の見方でした。
そして現に、その通りの結果が出ているわけですね。
なので、レコード会社側の人間が、今の現状を本気で「見込み違い」と考えているなら、著しい想像力の欠如であり、現状を正しく表現するならば、「完全に想定通り」というべきでしょう。
善意解釈するならば、「見込み違い」というのは建前で、彼らも本当は売り上げが回復するなんて期待はしていなかったのではないでしょうか。
ただ、違法コンテンツは許せないから規制してもらった、それだけの話だと考えられます。
こういう規制は、一度してしまえば元に戻すことは極めて困難です。
ほぼ不可能だといってもよいでしょう。
なので、安易な立法は避け、慎重に進めるべきです。
それでも現実には事業者の声の方が大きいので、とにかく規制ありきで話が進んでしまいます。
こうして、何の意味もない規制が増えていくのですね。
この話題は、少しだけ次回に続きます。
では、今日はこの辺で。
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