2014年2月4日火曜日

定款変更後の定款

司法書士の岡川です

「定款」というものをご存知でしょうか。
会社を経営しているような方であれば必ず知っているでしょうが、定款とは会社(その他の法人)の目的や組織、業務内容などのについて定めてある根本規則です。
国でいうところの、統治機構を定めた「憲法」みたいなもんですね。

どんな会社であっても、設立するときは、必ず定款を作らなければいけません。
定款は、書面か電磁的記録によって作成されますが、その書面や電磁的記録自体を定款ということもあります。


設立するときに作成する最初の定款のことを「原始定款」といったりもしますが、最初の定款は、公証人による認証を受けなければなりません。
最初から無茶苦茶な内容の定款だったら困るからですね。
認証を受けていないと、その定款は効力を有しないことになっています(会社法30条)。

定款認証が終わって初めて法務局に設立登記の申請をするのです。


定款は、株主総会によって(法律に違反しない範囲で)事後的に変更することも可能です(定款変更には、特別決議が必要です)。
また、株主総会によって定款変更をしても、公証人の認証を受ける必要はありません。
変更したら変更しっぱなしでよいのです。
もちろん、定款変更によって登記事項に変更が生じたら(例えば、取締役会を設置する定款変更をした場合)、法務局に変更登記の申請をしなければいけませんが、それ以外の変更であれば、株主総会さえ開いておけば、その後何の手続きもせず有効に内容が変更されます。


定款変更が行われたとしても、設立時に作った定款を修正液で消して書き直すようなことはしません。

定款変更をする場合は、必ず株主総会議事録に「定款の何条をこういうふうに変更する」という記録が残っているので、元々の定款と、この株主総会議事録を併せ読むことによって、現在の定款の内容が読み取れるのです。

ということは、定款変更を何度も繰り返すと、原始定款と過去のすべての議事録を併せ読まなければ、現行定款の内容は把握できないということになりますね。

それは非常に面倒なので、最新の内容を記載した書面を新たに作って、「これが現行定款です」という代表取締役の証明を付ければ、それも現行定款として扱ってもらえます。
新たに作るといっても、元の定款のデータがパソコンに残っていれば、作るのは簡単です。

定款にとって重要なのは、書面そのものではなくその内容なので、書面自体は新しく作り直しても問題ないのです。


また、万が一定款を紛失したとしても、登記事項を参考に、記憶をたどっていって、新しく書面を作り直しても構いません。
おそらく完璧には思い出せないでしょうが、その場合は、株主総会を開いて「定款全部を丸っきり新しい内容に変更する議決」をして、「別紙のとおり定款を変更する」という議事録を作ればいいのです。
これで、紛失してしまった昔の定款は必要なくなります。

ある程度は、何とかなるということですね。
でも、面倒なので定款はきちんと保管しておきましょう。

では、今日はこの辺で。


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