2014年4月21日月曜日

債権と債務

司法書士の岡川です。

不法行為の話をしたので、ここでついでに債権の話でも。

物を直接支配する権利である「物権」に対して、物ではなく、人に対して何かを要求する権利のことを債権といいます。
例えば、売買契約を締結すれば、売主は、買主に対して「金を支払え」という権利(代金債権)が発生します。
債権を有する者を「債権者」といいます。

債権と対になる概念が「債務」で、これは逆に、債権者に対して何かをする義務のことをいいます。
債務を有する者を「債務者」といいます。

一般的には、「請求権」というのとほぼ同じと考えてもいいのですが、請求権といえば、物権に基づく請求権も含みます。
例えば、自分の土地を不法占拠された場合、土地明渡請求権が生じますが、これは所有権に基づく請求権なので物権です。


民法において、債権の発生原因としては、大きく4種類あります。

まずわかり易いのが「契約」ですね。
契約を締結すれば、債権債務が発生します。
売買契約のように、互いに債権債務を有する場合(売主が代金債権を取得し、買主が引渡債権を取得する)や、贈与契約のように、一方的に債権債務を生じさせる場合があります。

その他、契約のような当事者の合意がなくても生じる債権(法定債権)として、事務管理、不当利得、不法行為に基づく債権があります。
不法行為は以前紹介しました。

不当利得は、法律上の原因がないのに利得を得た者に対して、それを返せという権利(不当利得返還請求権)が発生する制度です。
よく耳にする「過払金請求」というのが、「弁済し過ぎた金を返せ」という請求なので、これは不当利得に基づく債権です。

あまりにも「過払金請求」というものが有名になりすぎましたが、典型的には、例えば売買契約が無効になったとき、買主が「払った代金を返せ」というようなのが不当利得に基づく債権です。

事務管理というのは、「義務なく他人のために事務の管理」をすることです。
イメージし辛いかもしれませんが、例えば「お隣が留守にしているときに、台風が来て、窓が壊れてしまっていたので、修理してあげた」というようなものです。
教科書なんかでは典型例として紹介されますが、そんな場面にそうそう出くわすものではありませんね。
この場合、事務管理にかかった費用を請求する債権が発生します。


「債権」とか「債務」というと、何か難しい法律用語と思うかもしれませんが、単純に「人に対する権利と義務」のことだと理解しておけばよいでしょう

では、今日はこの辺で。

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