2014年5月30日金曜日

倒産すると会社はどうなるのか?

司法書士の岡川です。

「ホッカイロ」や「ミセスロイド」などの株式会社白元が経営破綻したようです。

ホッカイロ、アイスノンの白元が経営破綻
防虫剤「ミセスロイド」や保冷枕「アイスノン」などを生産、販売する日用品メーカーの白元(本社・東京都台東区)は29日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、受理されたと発表した。

よくニュースなどで「倒産」とか「経営破綻」とかいうことばを聞きますが、結局のところ倒産するとどうなるのか、「破産」とは違うのか、会社は無くなってしまうのか、というあたりがよくわからない方も少なくないと思われます。


「倒産」とは、経済活動を行う主体(個人や会社など)の資金繰りがうまくいかず、弁済期にある債務が返済できなくなるなど、そのまま経済活動を続けていくことが困難な状況をいいます。

事業者のみならず、多重債務によって消費者が借金が返せなくなった状態も「倒産」に含めることができますが、一般的には、会社が経営破綻した場合を倒産ということが多いですね。


さて、「倒産」は、経済的に破綻した状態をいいますので、必ずしも「企業が解散して消えてなくなる」ということを意味しません。
もちろん、借りたお金も返せない状況にある会社をそのまま放置しておくわけにもいきませんので、何らかの倒産処理手続をとる必要があります。

倒産処理手続には、私的整理と法的整理に分かれます。
私的整理とは、債権者との話し合いによって借金を減額してもらったり、返済を猶予してもらったりすることで、経営再建する方法です。

これに対して、法的整理は、裁判所等の関与のもとで、法律に規定された倒産処理手続を行うことをいいます。
マスコミでは、倒産後の影響を考慮して、法的な倒産処理手続に移行した時点で「倒産」という言葉が使われるようです。

法的整理には、いくつかの種類があります。

まず、「清算型手続」として、破産法に基づく「破産」と会社法に基づく「特別清算」があります。
これらは、「これ以上どうしようもないので解散して消えてなくなる」という方式の手続です。
消えてなくなる前に、今ある会社の財産を全て売り払って、債権者に分配することになります。
「破産」というのも、倒産処理の一種ということです。

それから、「再建型手続」として、民事再生法に基づく「民事再生」と会社更生法に基づく「会社更生」、民事調停法に基づく「特定調停」などがあります。
そのまま放置していれば消えてなくなるしかない会社であっても、債権者に債務の免除や猶予などをしてもらったり、新たにスポンサーをつけることによって、会社を再建させる手続です。
返済額が大幅に減額されると債権者としては大損ですが、そのまま放っておけば、破産してしまって回収できる額が少なくなる可能性があります。
したがって、少しでも返してもらって会社を再建してもらった方がマシ、ということになるわけです。


ということで、今回の白元の経営破綻は、民事再生手続の申立てを行ったもので、破産したわけではありませんので、直ちに白元が無くなるわけではない、ということですね。

(追記)
という記事を書いた後で、和菓子の駿河屋が民事再生を断念して破産手続に移行するとのニュースが。
この場合、解散して会社が消滅することになります。

倒産のニュースが相次いでいますね。

では、今日はこの辺で。


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