2014年6月3日火曜日

破産と免責

司法書士の岡川です。

前回、倒産の話をしたので、その関連で、破産について基本的な情報を書いておきます。

破産というのは、「借金が棒引き(チャラ)になる制度」というイメージの方が多いと思います。
そのイメージは、ほぼ正しいのですが、厳密にいうと正確ではありません。

会社等の法人が破産した場合、その法人は解散してしまうので「破産=全てチャラ」といっても間違いではありません。

しかし、個人の自己破産の場合は、もう少し正確に理解しておく必要があります。

「破産する」といった場合、昔は「破産宣告」を受けることをいいましたが、現在は「破産手続開始決定」がなされることをいいます。
実体としては一緒なのですが呼び方が変わっています。

この破産手続というのは、実は「借金をチャラにする手続」ではありません。
破産手続自体は、残っている財産で売れるもの(売ることが法律上禁止されていないもの)は売って、その代金を債権者に公平に分配するという制度です。

つまり、破産手続が開始すると、その時点での財産を公平に分けることになり、公平に分け終わったときに破産手続が終わります。

これが原則的な「破産」の制度です。
つまり、破産しただけでは、全財産の売却代金から返済しきれなかった債務は残ることになります。

ただ、それだけでは借金が残った破産者の生活再建ができません。
そこで、「免責」という制度があります。

この免責というのが破産者の残りの債務を免除する、つまり「借金をチャラにする」制度なのです。

破産手続開始申立の他に、免責許可申立をして、裁判所が免責許可の決定をすれば借金がチャラになります(もっとも、免責許可の申立ては、破産手続開始の申立てをすれば同時に申し立てられたものとみなされます)。


借金の相談を受けたとき、便宜的に「破産できる」とか「破産できない」とかいう説明をすることもありますが、厳密にいえば、大抵の場合、(借金が返せない以上は)破産自体はできるのです。
ただ、「免責を受けることができない」という場合があるだけで。

厳密に説明する場合は、「破産はできますが、免責については・・・」という説明になります。

なお、最初に述べたとおり、法人については、破産すれば最終的に法人自体が解散して消滅してしまうので、免責がどうとかいう問題にはなりません。

では、今日はこの辺で。


この記事が「面白い」「役に立つ」「いいね!」「このネタをパクってしまおう」と思ったら、クリックなどしていただけると励みになります。
↓↓↓↓↓

※ブログの右上に、他のランキングのボタンもあります。それぞれ1日1回クリックできます。

0 件のコメント:

コメントを投稿