2014年6月17日火曜日

「執行役員」という名の役員じゃない人

司法書士の岡川です。

前回、株式会社の「役員」を紹介しましたが、世の中には「執行役員」という肩書をお持ちの「会社の偉いさん」もおられます。
この「執行役員」とは何者でしょうか。

執行役員は、前回紹介した、委員会設置会社における「執行役」とは異なります。
「執行役」は、委員会設置会社において、取締役会の決定した方針に従って実際に業務執行をする機関として会社法にその地位が規定されています。
また、取締役会から執行役に業務執行の決定を委任することができ、取締役会は業務執行の監督に専念することになります。


これに対し、執行役員というのは、会社法のどこにも出てきません。
つまり、それぞれの会社が勝手に与えた、会社内部の役職ということです。
もちろん、法律上の「役員」ではなく、あくまでも「使用人(=雇われる側の人)の中の偉い人」です。

どれくらい偉いのか(どんな権限を持っているのか)は、会社のルールによって決まるので、会社ごとに異なります。
少なくとも、重要な業務執行の決定権はありませんし、代表権もありません。
業務執行の決定は取締役や取締役会の権限であり、代表権を付与できるのは取締役に限られるからです。


一般的には、取締役会が経営の意思決定をし、取締役会の決定に従って執行役員が業務を執行するという役割分担がなされます。
取締役会は、経営方針の決定と監督に専念する一方、業務執行は取締役会を構成しない執行役員に委ねることで、取締役を減らして取締役会の意思決定の効率化が図られています。

このように、本来は「経営(監督)と執行の分離」を目的として作られた執行役員制度ですが、執行役員が会社法上の役員を兼ねているというパターンも少なくありません。
そもそも代表取締役は業務執行権限を有しているわけで、もう何が何やら・・・。


ちなみに、投資法人という種類の法人では、業務を執行する役員(株式会社の取締役にあたる役員)のことを執行役員といいます。
これは、株式会社における執行役員と違って、きちんと法律で規定された機関ですので、区別しましょう。


では、今日はこの辺で。


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