素手で殴ってきた相手に対し、カッターナイフで応戦した事件で、正当防衛が認められました。
カッターで応戦「正当防衛」 米国人被告に無罪判決
大津市内の英会話学校で昨年9月、50代の米国人経営者=傷害罪などで公判中=に暴力をふるわれた際、護身用のカッターナイフで応戦してけがを負わせたとして、傷害罪に問われた英会話講師の米国人男性被告(31)=京都市下京区=の判決が24日、大津地裁であった。赤坂宏一裁判官は、正当防衛を認めて無罪(求刑懲役1年)を言い渡した。
「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。」
これが超有名な法律用語のひとつ「正当防衛」の規定です(刑法36条)。
「やむを得ずした」ことが正当防衛成立の要件ですので、何でもかんでも反撃が許されるわけではありません。
一般的に「やむを得ずした」といえるためには、「必要性」と「相当性」が必要であるといわれます。
どの程度であれば「相当性がある」といえるのかを判断する基準として、伝統的に判例が採用している(といわれている)のが「武器対等の原則」です。
「攻撃する側と防衛する側で武器が対等であれば原則として相当性が認められる」というものです。
要するに、ナイフで襲われたときにナイフで応戦するのは相当性があるが、素手で襲われたときにナイフで応戦するのは相当性が無い(過剰防衛)、という考え方です。
実際はそんな単純なものではなく、純粋に武器の種類のみで正当防衛の相当性が決まることはありません(あたりまえですが)。
「そういう結論が導かれやすい」という程度の原則で、武器の種類以外にも様々な要素を考慮した上で相当性が判断されることになります。
一般的には「判例は武器対等の原則を採用している」といわれていますが、武器の種類が対等でなくても正当防衛が成立した事例はいくつもあります。
ちなみに、前から気になっていたんですが、Wikipediaの武器対等の原則の項目に挙げられている参考文献が民事訴訟法の文献なんですけど、これはおそらく、同じ「武器対等の原則」でも、全く別概念の訴訟法上の原則のことを指していると思われます。
こちらの、民事訴訟や刑事訴訟法上の「武器対等の原則」(「当事者対等の原則」「武器平等の原則」ともいいます)とは、対立する当事者双方(民事訴訟なら原告と被告、刑事訴訟なら検察官と被告人)に主張を述べる機会を平等に与えなければならないという原則です。
刑法上の「武器対等の原則」とは、全然意味が違いますね。
Wikipediaの記述がいつ修正されるかな~と思って放置してるんですけど、結構長いこと修正されませんね。
というわけで、Wikipediaをコピペしてレポートを書こうとしている学生の皆さんは、こういうトラップに引っかからないように気をつけましょう。
ま、これがトラップだと気づく賢明な学生さんはWikipediaのコピペなんかしないでしょうが。
では、今日はこの辺で。
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