2014年7月8日火曜日

解釈改憲について

司法書士の岡川です。

最近は、「解釈改憲」ということばをよく耳にするようになりました。
いうまでもなく集団的自衛権の行使容認との関連で使われています。

ここで、「解釈改憲」とは何かということをきちんと確認しておこうと思います。

安倍内閣は、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行いました。
歴代内閣では、集団的自衛権の行使は憲法9条に違反して認められないという憲法解釈をしてきましたので、解釈の変更が行われたわけです。

これをもって、「解釈改憲は許されない」という批判がされているわけですが、誤解してはいけないのは、「行政府たる内閣の会議体である閣議で解釈を変更したこと」を「解釈改憲」というのではないということです。

行政府が憲法解釈をすることは何の問題もありませんし、行政府は一定の解釈の下に法を執行していかなければなりませんので、自ら解釈をすることはむしろ当然のことです(これを政府解釈とか行政解釈といいます)。

そして、行政府が考えた解釈を、行政府自身が変更することも一切禁じられていません。
最終的な違憲審査権を有するのは司法府たる裁判所です(したがって憲法の番人とよばれる)ので、司法の解釈を行政の側で否定することは許されませんが、行政解釈を不変のものと考える道理はありません。

問題なのは、その解釈が憲法が定めた枠から外れている場合、憲法が許容する解釈の範囲を超えている場合です。
そのような解釈は、「実質的な憲法の内容の変更(改憲)である」という意味で「解釈改憲」といわれます。

この解釈改憲は、憲法自身が規定する憲法改正手続を経ずに内容を変更する点で、一般的には否定的に評価されています。


つまり問題のポイントは、「変更された解釈の中身が憲法の枠内にあるかどうか」なのです。
賛否を論じる前に、この点はしっかり押さえておきましょう。

では、今日はこの辺で。

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