2014年11月25日火曜日

被相続人を殺せば遺産をもらえるか?

司法書士の岡川です。

遺産目当てで、自分の親や配偶者等の被相続人を殺害するという事件がたまに報道されます。
漫画やドラマの世界だけでなく、現実にもそういうことをする人がたまにいます。

もし、早く遺産を取得するために被相続人を殺害したらどうなるのでしょうか。
ちょっと刑務所に入って出てくれば、相続した遺産で楽しく余生を過ごせるのでしょうか。






答え:相続人から外されます





民法891条は、次の通り規定しています。
第891条 次に掲げる者は、相続人となることができない。
一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
(以下略)

つまり、遺産目当てに親や子のいない人と結婚し、同人を青酸カリ等を用いて毒殺した場合は、遺産を引き継いで丸儲けにはならず、配偶者であっても相続することはできなくなります。
これを「相続欠格」といいます。

相続欠格事由には他にもいくつかあります(そのほかの欠格事由の例→「遺言書偽造で丸儲けできるか」)が、まずは「夫(妻)を(故意に)殺したら、あなたは夫(妻)の遺産を相続できない」と覚えておきましょう。


また、遺言についても次のような規定があります。
第965条 第886条及び第891条の規定は、受遺者について準用する。

ということで、例えば、身寄りのない大金持ちとお近づきになって、「すべての財産を遺贈する」という遺産を書いてもらってから、その遺贈者を殺害すると、受遺者として指定された人は遺贈を受ける資格を失います。
これを「受遺欠格」といいます。


ついでに、もうひとつ。
誰かに生命保険をかけて、その生命保険の受取人となってから、被保険者を殺害したら(いわゆる保険金殺人)どうなるでしょう。

何となくわかると思いますが、これも保険金は支払われない(免責される)ことになっています(保険法51条3号)。



このように、法律は「誰かを殺してお金を得る」ということはできないようになっているのです。

では、今日はこの辺で。


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