司法書士の岡川です。
不動産の「名義人」は、登記簿に所有者として名前が記載されている人をいいます。
実際に(法的に)誰が所有権を有しているかはさておき、登記簿上は、申請をしなければ名義人は変わりません。
自然人(個人)だけでなく、会社や一般社団法人、学校法人、宗教法人等の「法人」も、権利の主体になることができる(人の集まりである法人自体が所有者になることができる)ので、法人名義で登記することができます。
他方で、同じ人の集まり(団体)であっても、法人格を有していない(法人として登記されていない)団体名義では登記をすることができません。
学校のサークル、町内会、スポーツチーム、ボランティア団体など、世の中には法人ではない団体は数多くあります。
学校のサークルが不動産を購入しようとすることはあまりないでしょうが、町内会など、きちんとした組織や財政基盤がある場合、不動産を取得する必要が出てくる場合もあります。
町内会の集会所とかですね。
そのとき、その団体名義に登記することができないからといって、不動産を購入しても前所有者名義に放置するというのは危なっかしくて仕方がない。
前所有者が別の人に売ってしまって、その人に名義が移転してしまえば、たとえ先に買ったのだとしても権利を主張することはできませんので、せっかく買った不動産なのに手放さざるを得なくなります(第三者に対して権利を主張するための要件を「対抗要件」といいます)。
そこで、団体名で登記するのではなく、便宜的に、代表者名義で登記をしたり、団体の構成員全員の共有名義で登記するという方法がとられます。
共有名義となると、団体の構成員に変動がある毎にきちんと持分移転登記をしておかないと、いざその不動産を処分しようとするときに、大変なことになります(例えば、とっくの昔に脱退した人とかその相続人とかにハンコをもらいにいかないといけないなど)。
共有名義というのは色々面倒なのです。
また、代表者名義で登記するというのも、その代表者が変われば登記しないといけませんし、代表者個人名義にするというのも不安なものです(この場合、本当に個人名義で登記され、「○○会会長○○」のような肩書が付されることもありません)。
今は、いろんな法人が比較的簡単に作れるようになっています(一般社団法人など)。
町内会などは、「認可地縁団体」という特別な法人になることも可能です。
団体がお金をためて不動産を購入するなら、その前に法人にしてしまうのがオススメです。
また、現に不動産を所有している団体は、ややこしくなる前に法人化するとよいでしょう。
そうすれば、団体(法人)名義で登記ができます。
では、今日はこの辺で。
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