まだまだ裁判所の審級の話が続きます。
裁判所の審理の対象についてみると、「事実審」と「法律審」にわけることができます。
事実審というのは、事実問題(どういう事実があったのかの問題)と法律問題(どの法令をどう当てはめるかの問題)の両方について審理する裁判所(審級)をいいます。
例えば「貸した金を返せ」という訴えに対しては、「本当に貸したのか」「いくら貸したのか」「まだ返していないのか」といった事実面での審理と、「その契約は適法か」といった規範面の審理の両方を行うのが事実審です。
これに対し、自ら事実認定を行わず、法の適用についてのみ審理するのが法律審です。
法律審では、例えば「貸した金を返せ」という訴えに対して、「実際に貸したのか」「本当に返していないのか」といった事実面の判断は行いません。
日本の司法制度では、第一審と第二審(控訴審)は事実審とされています。
他方、上告審は法律審であり、上告審では原則として原審(控訴審)が認定した事実がそのまま判決の基礎となります。
つまり、専ら上告審を担当する最高裁判所では、「金は借りていない」といった事実面での控訴審の誤りを主張をすることはできない(しても意味がない)ので、基本的には、法令解釈の誤りを指摘したり、そもそもその法律は憲法違反だと主張するしかなくなります。
上告審が法律審である以上い、三審制といっても、事実の存否について3回別の裁判会に判断してもらうチャンスがあるわけではない。
これは覚えておきましょう。
では、今日はこの辺で。
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