2015年2月27日金曜日

色々な法人設立の方式

司法書士の岡川です。

自然人と違って、法人格というのは法律で特に定められたものですから、法人が設立されて法人格を取得する方法も法律で定められています。
そのひとつが前回紹介した準則主義ですが、他にも様々な制度が存在します。

特許主義

まず、最も厳格な方式が、個別の立法に基づいて設立されるというもので、これを特許主義といいます。
日本銀行法に基づく日本銀行や、日本赤十字社法に基づく日本赤十字社などは、国策に基づき、個別の法律で設立される特許主義の法人です。
特許」といっても、特許権の特許とも違いますし、行政処分としての特許とも違うのですが。

許可主義

個別の根拠法が必要な特許主義よりは緩やかですが、設立には主務官庁の「許可」が必要な方式を許可主義といいます。
かつての民法上の法人(社団法人と財団法人)がこれです。
法律の要件を満たしていても、最終的に法人格が付与されるかどうか(許可が得られるか)は行政庁の裁量に委ねられます。


免許主義

法人の設立に主務官庁の「免許」が必要となる、旧商法時代の会社設立の方式です。
詳しくは昨日の記事を参照。

認可主義

法人設立に主務官庁が関わりますが、許可主義や免許主義より緩やかなのが認可主義です。
設立には「認可」が必要ですが、認可申請があったとき、法令の要件を満たしていれば、官庁の裁量を挟まずに認可を与えることになります。
学校法人や社会福祉法人、医療法人など多くの法人が認可主義となっています。

認証主義

認可主義と同じようなものですが、設立に主務官庁の「認証」が必要なものを認証主義といいます。
宗教法人や特定非営利活動法人がこれにあたります。
認証も認可と同じく、主務官庁側に裁量はないのですが、認可より審査が形式的なのが認証だとされています。

準則主義

法定の要件を満たしていれば、法人を設立できるのが準則主義。
現行法上の会社のほか、一般社団法人なども準則主義です。

自由設立主義

法定の要件すら必要なく、会社組織が形成されれば(定款さえ作れば)設立できるのが自由設立主義です。
形式審査すらないので、設立にあたって国の関与は一切ありません。
日本では、自由設立主義をとる法人形態は存在しません。


日本では、自由設立主義の法人はないので、準則主義による法人が最も簡易に設立できます。
そこで、営利活動をするなら会社を作ればよいし、非営利活動をしたいなら一般社団法人や一般財団法人を作ればよいのです。

ちなみに、現行法上の公益法人(公益社団法人と公益財団法人)というのは、一般社団法人・一般財団法人として設立された法人のうち、公益認定を受けたものをいいます。
つまり、設立手続(法人格を取得するまで)については、準則主義ということができますね。


では、今日はこの辺で。

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