司法書士の岡川です。
法人の分類として、「社団法人と財団法人」「公法人と私法人」を紹介しました(けっこう前に)。
今日は、「営利法人と非営利法人」について。
営利法人というのは、営利を目的とした法人のことをいいます。
ここでいう「営利」というのは、「金儲けすること」ではなく、法人があげた利益を、その構成員(社員)に分配することをいいます。
株式会社では、株式を購入して資金を提供した者が構成員たる株主となり、そうして集まった資金を基に事業を行って利益をあげます。
利益を法人が貯めこんでいても仕方ないので、その利益(剰余金)は、(設備投資等に回す分を除いて)株主に分配することになります。
株式会社は、本来的に、「資金を集めて利益をあげて、それを出資者(株主)に還元する」ことを目的とする法人ですから、典型的な営利法人であるということになります。
同じように、持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)も利益を社員に分配することを目的としている法人ですので、営利法人ということになります。
つまり、法人で利益をあげて構成員が儲ける(ことを目的とした)仕組みになっているのが営利法人であって、逆に、そうでないものを非営利法人といいます。
非営利法人には、公益社団法人、一般社団法人、学校法人、宗教法人、特定非営利活動法人などがあります。
収益事業をしているかどうかで区別するわけではありませんので、非営利法人でも収益事業を行うことはできます。
例えば、学校法人や宗教法人がお金儲けをしても別に違法ではありません。
それなりに資金を稼がないと、法人の運営ができませんから、非営利法人であっても何らかの収益事業を行うことはよくあることです。
事業の内容で営利性(営利法人が非営利法人か)が区別されるわけではありませんので、同じような事業を行っていても一方は営利法人でた方は非営利法人ということもあります。
例えば、銀行は必ず株式会社ですので営利法人です。
他方、信用金庫は非営利法人です(「信用金庫」というのが法人の種類です)。
信用組合や農業協同組合(JAバンク)も非営利法人です
生命保険会社でいうと、株式会社形態の第一生命は営利法人ですが、相互会社形態の日本生命は非営利法人です。
一般的に、病院を経営している法人の多くは医療法人という非営利法人ですが、薬局や整骨院は株式会社が経営していることも多いので、こちらは営利法人です。
一時期、「株式会社立大学」というのが話題になりました(今もいくつかあるみたいです)が、これは、非営利法人である学校法人ではなく、営利法人である株式会社が運営母体となる大学が作れるようになったということがポイントです。
ということは、法人の構成員というものが存在しない財団法人についえては、営利法人はありえないというのが一般的な理解です。
実は、「営利財団法人」という概念を認めるマニアックな議論もあるのですが、マニアック過ぎるので省略!
では、今日はこの辺で。
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