司法書士の岡川です。
新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。
東京や大阪等を対象として発令された緊急事態宣言が、全国に拡大されるようです。
緊急事態宣言の影響というか感染拡大の影響は司法の世界でも例外ではなく、緊急事態宣言の期間中、裁判所では原則として全ての期日が取り消されました。
保全事件のような、緊急性の高いものは引き続き行われる予定ですけどね。
ところで、我々のような裁判に携わる法律実務家(弁護士や司法書士)は、気軽に「期日」という言葉を使うんですが、法律家が「期日」と言ったとき、一般的な日本語とは少し意味が異なることが多い。
なので、一般の方を相手に期日とか言っても伝わらない可能性があるんですよね。
というわけで、改めて法律用語の「期日」とは何か。
ひとつめの意味は、まあ普通の日本語の意味とほぼ同じで、単純に「ある特定の日」のことです。
法律用語としてもう少し意味を限定すると、何らかの行為をすべき日であったり何らかの事実が生じる日です。
例えば、法律の施行期日といったら、法律が施行される日ですね。
これに対し、訴訟法上の期日、つまり裁判に関する話題の中で出てくる「期日」というのは、当事者が(主に裁判所に)集まって訴訟行為をする時間をいいます。
冒頭に書いた「期日が取り消された」という場合の期日は、この意味ですね。
具体的には、民事訴訟では口頭弁論記述や弁論準備期日等があり、刑事訴訟では公判期日等があります。
この期日は、特定の一日全部ではなく、実務上は「何年何月何日何時」まで特定されます。
そして、その時刻(実際には多少ずれるんですけど)に、裁判長による宣言(黙示的なものも含む)によって開始してから終了するまでの時間が期日です。
期日に手続が行われることを、俗に「期日が開かれる」とかとか言ったりします。
後者の意味で「期日」と言った場合、当然そこには「その時間に当事者が集まって訴訟行為をする」という意味が含まれています。
ということは、「次の期日は何月何日何時です」と言った場合、「その時間に裁判手続が行われます(≒法廷に行きます)」という意味になるわけですね。
で、冒頭にあるように「期日が取り消された」ということは、言い換えれば「予定されていた全ての裁判手続が行われなくなった(≒法廷が開かれなくなった)」というのとほぼ同義です。
まあ、厳密にいえば裁判手続は期日外でも行われるので、期日取消=手続全部ストップというわけではないのですが。
緊急事態宣言の対象が全国になれば、全国的に期日が一律に取り消されることになるでしょうから、つまり、全国で多くの裁判がストップすることになるわけです。
なかなか大変な状況になりましたが、緊急事態宣言が長引くと、司法機能がマヒしたままになってしまいます。
どうなることやら…。
では、今日はこの辺で。
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