2016年2月2日火曜日

日本ライフ協会が民事再生法適用申請した件

司法書士の岡川です。

先日、日本ライフ協会の預託金流用問題をご紹介しましたが、最悪の事態の一歩手前くらいまできてしまいましたね。

報道によりますと、日本ライフ協会が民事再生法の適用を申請したそうです。

日本ライフ協会:高齢者預託金流用 民事再生法を申請(毎日新聞)

「民事再生法の適用を申請」というのは、ニュースでよく見る表現ですが、「民事再生法に基づく再生手続開始の申立てをした」という意味ですね。


この再生手続とはいったい何なのか。
再生してくれるんなら、債権者にとっても文句なし!・・・といって喜んでよいのでしょうか。


民事再生法というのは「経済的に窮境にある債務者について、その債権者の多数の同意を得、かつ、裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により、当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整し、もって当該債務者の事業又は経済生活の再生を図る」ことを目的とした法律です。

ざっくりいうと、再生手続というのは、「債務の弁済が苦しくなった個人とか法人が再生計画を立て、その計画に沿って権利関係が変更される」というもので、その手続きについて定めたのが民事再生法ですね。


いうまでもなく、一度締結した契約というのは、基本的には守らないといけません。
借金が返せなくなったからといって、勝手に「借金返せないから、半額にして返す計画立てたからヨロシク」と一方的に宣言したとしても、借金が半額になることはありません。


そうはいっても返せないものはどうしようもない。

そこで、会社や個人が経済的に立ち直る(再生する)ために、合理的な計画を立てることができたら、債権者の多数や裁判所が承諾すれば、債権者全員の同意がなくても債務の額を減らすことも認めるというのが再生手続です。

再生計画の中では、「全額すべて一括弁済」では意味がありません(それができないから困っているわけです)ので、債権額が大幅カットされたり、分割弁済になったりします。

債務者の再生を図るために債権者が犠牲になるわけですが、放っておけば債務者は破産するしかないので、そうなると、債権者にとってはもっと大きなダメージとなります。
多少(多少というかだいぶ)我慢してでも、再生してもらって、なるべく多く返してもらった方が債権者にとってもメリットがあることになります。


再生手続の開始を決定するのは裁判所なので、裁判所に申し立てなければなりません。
これが「民事再生法の適用を申請」ということになります。

申立てのあと、再生手続開始の決定があり、債権者集会やらなんやらかんやらがあり、最終的に再生計画が認可されると、再生計画通りに権利関係が変更されます。
この間、半年以上かかります。

スポンサーが見つからなければ、破産ということもありえます。


と、こういう手続きが日本ライフ協会に開始されようとしているわけです。

預託金を流用していても、何年かかけてでもその分が回復できるのであればまだよかったのですが、それも厳しいのかもしれません。
破産してしまう場合が最悪なので、まだ「最悪の一歩手前」ではありますが、予断を許しません。

同協会に預託金を預けていた方々は債権者ということになりますので、今後の手続の推移を注視していただく必要があります。


裁判所の手続きで困ったことがあれば、ご相談ください。

では、今日はこの辺で。

(追記)さらに続報です→日本ライフ協会が解散?事業継続?

0 件のコメント:

コメントを投稿