成年後見制度に絡んで、こんな事件がありました。
交通事故で障害の弟の口座から横領、横浜地検が姉を起訴
起訴状によると、女性は2009年9月から12年1月までの間、親族の40代の男性に管理を委託していた50代の弟の預金口座から、71回にわたり、現金計1988万円を引き下ろして横領した、とされる。
地検によると、弟は交通事故で障害を負い、川崎市内の障害者施設に入所。横浜家裁川崎支部が、親族の40代の男性を成年後見人として選任していた。
要するに、50代の男性が成年被後見人、40代の男性が成年後見人、被告人は成年被後見人の姉で、成年後見人が管理する弟の口座から2000万円を横領した、という事件ですね。
直接的には、成年後見人による横領事件ではなく、第三者(姉)による横領ということになります。
改めて確認するまでもなく、第一義的には姉に責任がある(刑事上・民事上)のですが、3か月にわたって71回も引き出されて2000万円もの財産を失ったというのは、成年後見人であった40代男性の財産管理が極めて杜撰だったといえます。
被告人の女性が成年後見人の家に忍び込んで金庫の鍵を開けて通帳を盗み出したというような事情でもあれば同情の余地もありますが(それでも、2000万円もの大金は貸金庫に入れておくべきでしたね)、成年後見人が保管している預金が、簡単に第三者に引き出されるなどという事態はあってはなりません。
これでは、何のための成年後見人かわかりません。
おそらく、この後見人は解任されるでしょうし、場合によっては損害賠償請求される可能性もあります。
成年後見人は、成年被後見人の財産を守る義務を負っています。
制度上、誰がなってもかまわないのですが、その責任を自覚することなく安易に就任することは、本人のためにも後見人のためにもなりません。
なお、これは正式に成年後見人に就任した場合に限った話ではありません。
もし「後見人は責任重大だから、後見を申し立てずに預かっておこう」と思った人がいれば、それは間違いです。
他人の財産を保管する以上、求められている注意義務の程度は同じです。
やはり、杜撰な管理をしていると損害賠償請求の対象となる可能性があります。
たとえ親族のものであっても、他人の財産を預かるというのは、大変なことだということを忘れないようにしたいものです。
では、今日はこの辺で。
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