2014年12月19日金曜日

三審制について

司法書士の岡川です。

日本の訴訟手続には、原則として「三審制」という制度がとられています。
民事も刑事も同様です。

三審制とは、1つの訴訟事件で3回まで別の裁判所で審理を受けることができる制度です。
慎重な審理を行い、国民が間違った(不当な)裁判で不利益を受ける可能性を極力避けるために、別の裁判所の判断を仰ぐことを認めるものです。


裁判所には上下関係(審級関係)があり、三審制における3回の審理は、下位の裁判所から上位の裁判所に審理の場が移っていきます。
つまり、判決に不服がある場合、上級裁判所(より上位の裁判所)に審理のやり直し(続行)を申し立てることになります。

裁判に対する上級裁判所への不服申立てを「上訴」といいますが、3回の審理を受けられるということは、2回上訴できるということになります。


裁判所の審級関係は、

最高裁判所>高等裁判所>地方裁判所>簡易裁判所

という具合になっており、左が上級裁判所、右が下級裁判所です。
(なお、「下級裁判所」という用語は、最高裁判所以外の4種類の裁判所を指す語でもあります)

右側の裁判所での裁判に不服があれば、左側の裁判所に上訴することができます。


基本的にはこの順番通り、簡易裁判所の裁判に対しては地方裁判所に、地方裁判所の裁判に対しては高等裁判所に、高等裁判所の裁判に対しては最高裁判所に上訴することになります。
ただ、刑事事件については、簡易裁判所の裁判に対する上訴は高等裁判所の管轄となっています。

家庭裁判所は、地方裁判所や簡易裁判所と取り扱う事件が異なるのですが、審級としては地方裁判所と同列で、家庭裁判所の裁判に不服がある場合の上訴は高等裁判所に対してします。
もっとも、簡易裁判所は家庭裁判所の下位にあるわけではありませんので、簡易裁判所からの上訴を扱うのは地方裁判所だけです。


ところで、「日本は三審制」というのは、義務教育レベルでは正しいですが、厳密にいうと例外もあります。

判決手続については基本的には三審制(判決に対しては2回上訴できるのが原則)なのですが、場合によっては二審制になる(判決に対して1回しか上訴できない)ことがあります。
また、決定手続(「決定」という形式の裁判がされる手続き)については、二審制が取られていることが結構あります(つまり、決定に対しては1回しか上訴できないことも多い)。

「判決」とか「決定」の意味については、「『裁判』の意味」を参照。

ちょっと長くなったので、続きは次回にしましょう。

では、今日はこの辺で。


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