2014年12月25日木曜日

裁判に対する不服申立制度いろいろ

司法書士の岡川です。

三審制の話と、その中心的な制度である判決に対する不服申立(控訴・上告)について書きましたが、裁判には判決以外にも「決定」とか「命令」があります(あと、家事事件手続では「審判」)。
これら「判決」以外の裁判に対する上訴を「抗告」(こうこく)といいます。

抗告には、期間制限のない「通常抗告」と、1週間とか2週間といった期間制限がある「即時抗告」があります。
抗告審の判断(決定)に対して更に上訴する場合を「再抗告」といいます。
抗告と再抗告をすることができる場合が「三審制」ということになりますね。

判決に対する控訴や上告と違い、決定や命令に対しては、手続ごとに抗告できるものとできないものが決まっています(「○○の決定に対しては、即時抗告をすることができる」みたいな規定があります)。

ちなみに、「即時抗告をすることができる」というのは、「即時 - 抗告をする」のではなく「即時抗告を - する」のです。
「即時抗告」でひとつの単語なので。


「抗告」と名の付く不服申立て制度には、以上のほかにも「許可抗告」「特別抗告」「執行抗告」「保全抗告」「準抗告」など色々ありますが、全部を説明するのは大変なうえに専門的になりすぎるので、思い切って全部省略。


それから、上訴ではない不服申立て(異議申立て)が用意されている場合もあります。
「上訴ではない」というのは、「上級裁判所に審理の場を移さない」ということです。


控訴や即時抗告など、一定期間内に不服申立てをすることができる裁判は、あとで判断が覆る(審理が続行される)可能性があります。
逆に、その期間を過ぎれば、基本的にはその判断が変わる可能性はなくなります。
この状態を「確定」といいます。

民事訴訟の判決書や、後見開始の審判書が届いた場合、「2週間したら確定する」といって2週間待たされるのは、その2週間は上訴(控訴・即時抗告)される可能性があるからです。
2週間を経過すればその可能性が消えますので、そこでようやく次の手続きに進むことができるというわけです。


不服申立てには期間制限があるものが多いですので、納得できない場合は、即座に対応しましょう。

では、今日はこの辺で。

この記事が「面白い」「役に立つ」「いいね!」「このネタをパクってしまおう」と思ったら、クリックなどしていただけると励みになります。
↓↓↓↓↓

※ブログの右上に、他のランキングのボタンもあります。それぞれ1日1回クリックできます。

0 件のコメント:

コメントを投稿