2014年3月6日木曜日

動物占有者の責任

司法書士の岡川です。

故意過失で、他人の権利や利益を侵害したら、損害を賠償しなければなりません。
これが不法行為責任の原則ですが、一定の場合にその責任を加重する規定が存在することがあります(「過失責任の原則」も参照)。
例えば、交通事故の場合の加害者に科される、自動車損害賠償保障法(自賠法)に基づく運行供用者責任などもそのひとつ。
運行供用者責任は、被害者の側で、加害者の故意過失を立証する必要はありません(中間責任といいます)。

民法の中にも、中間責任の規定は色々あります。
そのうちのひとつが、動物占有者の責任(民法718条)です。
犬の飼い主に賠償命令、山梨 女性死亡で5400万円
山梨県北杜市で2011年8月、女性=当時(56)=が中型犬に襲われ転倒して死亡し、女性の家族が飼い主の男性に約7700万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、甲府地裁は6日、約5400万円の支払いを命じた。

民法718条は、「動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない。」という規定です。
自分の占有する動物が他人に損害を与えたら、原則的に賠償する責任を負うことになり、例外として、過失がなかったことを立証することで、責任を免れるという規定になっています。
飼い犬が人を襲ったような場合に適用される規定なのですが、上記のニュースは、まさにそのような事例(しかも死亡事故)です。
特に大型犬を飼っている方は、気をつけましょう。
では、今日はこの辺で。


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