司法書士の岡川です。
以前話題になった、非嫡出子(婚外子)の法定相続分を嫡出子の2分の1とする民法の規定が、最高裁で違憲とされた件で、当該規定を削除する民法改正が成立しました。
法案を見ると、 民法900条の「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とし」という部分が削除されるようです。
そして、改正法は「公布の日から施行」とあるので、近日中に施行されることになります。
問題は、改正後の規定はいつから適用されるかという点ですが、「平成25年9月5日以後に開始した相続について適用する」とあります。
今年の9月4日以前に亡くなった人の相続に関しては、旧規定が適用されるということです。
ちなみに、施行前の相続についても適用があるということで、「法の不遡及の原則」の例外ということになりますが、刑法と違って、民法はこの例外も許されている・・・という話は、以前書きましたね(→参照「遡及処罰の禁止」)。
それはさておき、最高裁決定は、平成13年7月以降の相続について、この規定が違憲となったと指摘しています。
つまり、平成13年7月1日~平成25年9月4日までに開始した相続については、改正後の民法の規定は適用されないけども、まだ未確定の事件について裁判で争えば、裁判所は、ほぼ確実に当該規定は無効であることを前提に判断しますから、事実上旧規定の適用は排除されることになります。
まあ、最高裁判例に真っ向から反対するアグレッシブな下級裁判所裁判官がいないとも限りませんので、ゼロとはいえませんが・・・。
そして、登記・供託実務では、最高裁決定が出た日に法務省から法務局宛に事務連絡が出ており、平成13年7月1日以降に開始した相続で婚外子がいる場合の法定相続分による相続登記については、申請があったら「法務省に照会する」という取扱いになっているのですが、照会したあと、どういう処理がされるんでしょうね。
正式な通達は追って出されるということだったんですが、まだ通達は出ていないようです。
なお、既に旧規定に基づいて遺産分割協議が確定していたようなものについては、基本的にやり直しは認められないので、ご注意ください。
では、今日はこの辺で。
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