以前書いた「成年後見の申立てにかかる費用」という記事が結構人気なのですが、もうひとつ、「成年後見制度を考えてるんだけど、どれくらいの時間がかかるの?」という疑問もあるようです。
というわけで、今日はその疑問にお答えしましょう。
ただし、費用以上に、時間というのはケースによってかなり異なってきます。
また、管轄の裁判所によっても運用が異なります。
あくまでも、流れを把握する目安とお考えください。
なお、ここで書くのは大阪家庭裁判所(本庁)の運用を基にしています。
申立てまでの流れは、「成年後見制度を利用するには」で書いたとおりです。
まず、診断書を書いてもらうためのお医者さん探しです。
診断書を書いてくれる医者と書いてくれない医者がいるので、注意が必要です(特に、精神科や心療内科以外の医者は書いてくれないことも多いです)。
成年後見業務を行っている司法書士等であれば、どういう医者に書いてもらうとよいか、どのように書いてもらうか、といった情報も持っているので、かかりつけの医者が書いてくれないような場合は、相談してみるとよいでしょう。
かかりつけの医者が診断書を書いてくれない場合は、診断書を書いてくれる医者探しと、その病院での診察に数日~数週間程度かかるかもしれません。
その後、診断書を書いてもらうのに1週間~2週間程度をみておきましょう。
その間に、申立人等と打ち合わせをしたり、本人の財産調査をやったり、本人や関係者から事情を聴き取ったり、親族の意向を確認したりします。
本人の財産が少なく、親族も関係者も身近ですぐに話ができるようなら、これもすぐに終わりますが、どこにどんな財産があるか明らかでなかったり、打ち合わせの日程次第では、1か月~数か月程度かかるかもしれません。
そうこうしているうちに、診断書が出来上がってくるでしょうから、それを見て、申立て可能かどうか判断します。
基本的には、医者が「後見・保佐・補助」いずれかに該当すると診断していればそのまま手続きを進めますし、逆に「この人はどれにも該当しない」と書かれていれば、他の方法(任意後見契約等)を再検討することになります。
まあ、「医者が何と言おうが申立てする」というのもできなくはないですが、時間と費用と労力の無駄になる可能性も高いので、司法書士等と十分に相談しておきましょう。
資料がそろって事情が把握できれば、必要書類の作成にとりかかります。
その間に、家庭裁判所に申立ての予約をいれます。
すいている時期であれば、2~3週間後くらいにできますが、混んでいるときや申立人の都合次第で、1か月~1か月半後くらいになります。
その間に、申立人と連絡を取りあいながら、司法書士がせっせと書類を作成します。
申立ての日は、申立人と本人と司法書士が家庭裁判所に出向いて、家庭裁判所職員(参与員や調査官)と面談をします。
何もなければ、とりあえずこれで申立手続は終了です。
そこから、裁判官が「後見開始の審判」をします。
これは裁判所が勝手にやってくるので、申立人は家で待っているだけです。
特に複雑でなければ、申立てから1週間~2週間くらいでしょうか。
場合によっては1~2か月くらいかかることもあるようです。
審判があれば、審判書という書面が届きます。
審判の日から1週間くらいで届くはずです。
後見人にこの審判書が届いて2週間が経過すれば、その審判が確定します。
この段階で、ようやく後見人が正式に就任することになります。
というわけで、制度利用を決めたときから後見人の就任までは、なんやかんやで、3~4か月くらいをみておくとよいでしょう。
長いと思われるかもしれませんが、成年後見制度は、今後一生の付き合いになることを考えれば、この3~4か月というのは決して長い期間ではありません。
もし自身が後見人に就任する予定であれば、この間に十分準備をしておく必要があります。
なお、速やかに本人の財産を保全する必要があるなど、緊急に対応すべき事情がある場合は、そのための「審判前の保全処分」という制度もあります。
事情がある場合は、司法書士等に相談しながら進めましょう。
では、今日はこの辺で。
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成年後見シリーズ
第1回「成年後見制度入門」
第2回「法定後見の類型」
第3回「任意後見契約について」
第4回「後見終了後の問題」
第5回「後見人には誰がなるか?」
第6回「成年後見制度を利用するには?」
番外編「成年後見の申立てにかかる費用」
番外編2「成年後見の申立てにかかる時間」 ← いまここ
(このほかにも、成年後見についての記事はありますので、右上の検索窓で検索してみてください)
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