2013年12月26日木曜日

一足先に年末のご挨拶

司法書士の岡川です。

いつの間にやらクリスマスも終わり、お正月モードに突入です。

昨日までシャンデリア的なものがぶら下がって、無駄にキラキラ していた梅田の阪急百貨店の前の通路(阪急線から地下鉄へ向かうところです)も、今日は一転して純和風なBGMが流れています。
ショーウインドウ(?)の中身も、一夜にしてクリスマス仕様から正月仕様に変わっていました。
余韻も何もありませんね。

毎年のことながら、1週間のうちに2種類の全く方向性の異なるイベントを行わなければならない日本の年末は、やたらと忙しくて大変です。

そんなわけで、私の今年の業務も一応27日で終わります。
まあ、28日にも用事が入ってるんですけどね。


さて、このブログは5月から始めたので、もう半年以上になります。
ちょっと執筆ペースを早くし過ぎて、常にネタ切れとの戦いでしたが、なんとか、平均して2日に1回程度の更新でやってこれました。

読んでいただいた皆さん、ありがとうございます。
コメントまでしていただいた方、本当にありがとうございます。
直にコメントくれた同業者の皆さん、よかったらひとつ相互リンクでもどうですか?


というわけで、来年も、同じくらいのペースでやっていければなあと思います。
年末年始は、ブログのネタを考えるのも休みますので、しばらく更新はしないと思いますが、読者諸兄は、この正月を利用して、過去記事でも読み返してみてください。

きっと、役に立ったり立たなかったりすること間違いなしです。


では、今日はこの辺で。
ちょっと早いですが、皆さん良いお年を!


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2013年12月24日火曜日

法律一発ネタ(その6)

司法書士の岡川です。

「封印執行」って、必殺技名っぽいよね。

【解説】
破産財団に属する財産に封印をさせる執行手続です。

では、今日はこれだけ。

2013年12月21日土曜日

自動車事故と自転車事故の違い

司法書士の岡川です

自転車事故も、一種の交通事故です。
自転車で歩行者にぶつかって相手に怪我をさせるのも、自動車で歩行者にぶつかって相手に怪我をさせるのも、程度の差はありますが同じ交通事故であり、同じ過失による不法行為です。

ちなみに、道路交通法では、自転車は「軽車両」として、同法の対象になっているのは有名な話。
同じく軽車両の一種である馬に乗って道路を走行中に歩行者にぶつかった場合も、交通事故といえるかもしれません。

ただ、自転車や馬がで走行中に歩行者に怪我をさせた場合と、自動車で走行中に歩行者に怪我をさせた場合で、大きく違う点があります。
それは、前者は自賠法が適用されないという点です。

自賠法というのは、 自動車損害賠償保障法の略。
自動車の危険性に鑑み、自動車事故による損害を確実に填補するために用意されている法律です。

自賠法は、「自賠責保険について定めた法律」というイメージが強いかもしれませんが、それは確かに正しいのですが、もうひとつ大きな内容は、加害者の責任を(民法より)加重した法律だという点です。

民法には、不法行為について次のように規定されており、これが不法行為による損害賠償を請求する場合の原則です。
(不法行為による損害賠償)
第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
これに対し、自賠法3条には、このように規定されています。
(自動車損害賠償責任)
第3条 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。
民法709条に基づいて損害賠償を請求しようと思えば、「加害者の行為は、709条に規定された要件を満たす」と主張するわけなので、「故意または過失」「因果関係」「権利侵害」「損害額」を全て被害者が証明すれば賠償が認められることになります。

ところが、自賠法によれば、「生命又は身体を害された」とだけ証明すれば、加害者の故意・過失を証明する必要はありません。
逆に、加害者側が「自己の無過失」「第三者の故意・過失」「自動車の欠陥等の不存在」を全て証明すれば賠償責任を免れる、という構造になっています。

民法の原則によれば、「被害者がいろいろ証明すれば賠償が認められる」のに対し、自賠法によれば「加害者がいろいろ証明すれば賠償が免れる」のです。

どっちが被害者に有利かは、明らかですね。


で、この被害者に極めて有利な自賠法の規定は、「自動車」が対象であり、この「自動車」には自転車も馬も含まれません。
したがって、自転車とか馬に追突された人は、損害賠償を請求しようと思えば、民法の原則どおり、自ら「いろいろ証明」する必要があるわけです。

しかも、自賠法が適用されない以上、自転車は自賠責保険に加入していませんから、賠償金を確実に支払ってもらえるとは限らないことになります。


自転車事故は、立証の面では加害者に有利ではありますけど、いざ損害賠償が認められたときが大変です。
自動車みたいに自動車保険に加入していないことも多いですから、全額自分で賠償しなければならないわけですね。

自転車事故でも、他人に重大な損害を与える可能性はありますので(それこそ9500万円の損害が発生する場合も)、自転車保険というのも検討する価値はあるのかなと思います。


ついでなので刑法上の話も書いておくと、自転車事故の場合、自動車運転過失致死傷罪は適用されず、過失致死傷罪又は重過失致死傷罪が適用されます。
つまり、一段階軽い犯罪が成立することになります。

この点も、自動車事故と自転車事故では異なりますね。


では、今日はこの辺で。

2013年12月18日水曜日

年齢計算の仕方

司法書士の岡川です。

期間に関する話題が続いたので、ついでに年齢の計算について取り上げてみましょう。
年齢に関して直接規定した法律は2つあり、「年齢のとなえ方に関する法律」と「年齢計算ニ関スル法律」です。
前者は、「数え年」をではなく「満年齢」を使うように定めた法律です。
同法によると、国の機関は、原則として満年齢を使わなければならず、他方、国民は満年齢を使うよう「心がけ」なければなりません。

後者は、年齢計算については、出生日から計算する(初日不算入の原則を適用しない)旨を定めた法律です。
つまり、12月20日0時00分に生まれた人も、23時59分に生まれた人も、12月20日を初日として年齢計算するということになります。
初日不算入の原則が年齢計算にも適用されると、12月21日から0歳が始まってしまい、じゃあ12月20日は何歳やねん??ってことになりますが、そういう扱いはしないということです。

また、同法では民法143条を準用することが定められています。
民法143条とは、次のような規定です。
民法143条 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
2  週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

というわけで、平成25年12月20日に出生した人は、平成26年12月19日(正確にはその日の終了時点、すなわち午後12時00分ジャスト)をもって、満1歳となります。
つまり、12月20日生まれの人は、12月20日ではなく、前日の12月19日午後12時00分ジャストに歳をとるということです。
「12月20日午前0時00分」ではなく、「12月19日午後12時00分」というところがミソです。

小学校で習ったとおり、12月20日午前0時00分と12月19日午後12時00分は、時刻としては全く同じです。
しかし、どっちと定めるかにより、「満1歳になる日付」が「12月20日」なのか「12月19日」なのかという違いが出てきます。
それによって、法律の適用についても変わってくるので、この違いは重要なのです。

要するに、条文に出てくる「満○歳に達した日(達する日)」とは誕生日の前日のことで、「満○歳に達した日の翌日」というのが誕生日だということになります。
なお、満○歳に達する「日」は誕生日の前日ですが、満○歳に達する「時刻」は午後12時00分です。
したがって、例えば平成25年12月20日で18歳の誕生日を迎える人にとって、「18歳に達する日」は同年12月19日なのですが、12月19日の午後12時00になるまでは、まだ「18歳に満たない者」ということになります。

ややこしいですね。

あ、ちなみに12月20日は、私の誕生日です。よろしくお願いします。

では、今日はこの辺で。

2013年12月16日月曜日

初日不算入の原則

司法書士の岡川です。

細かいことですが、重要な原則として、「初日不算入の原則」というものがあります。

法律の世界は、「期間」というものがしばしば重大な意味を持ちます。

例えば、控訴期間を1日でも過ぎれば控訴できないし、時効完成まであと1日であっても、時効中断事由が発生すればその時点で時効完成が妨げられます(→参照「時効の完成に気を付けよう」)。

「何日」とか「何年」とかいう期間が定められていた場合、1日でもずれると結論が変わってきますので、「いつからいつまでか」を、きちんと厳密に確定する必要があります。
弁済期を1日でも過ぎれば遅延損害金が発生しますが、例えば「1か月後」と決めた場合、いつから遅延損害金が発生するかは、1日単位で細かく期間を計算しなければなりません。

そんなわけで、厳密な期間計算のためには、ルールが必要です。
そのルールのひとつが、「初日不算入の原則」です。
読んで字のごとく、期間計算に「初日は参入しない」という決まりです。

民法140条には、「日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。」と規定されており、これが基本的な期間計算のルールとなっています。

改めて確認するまでもないですが、1週間は7日間のことをいいます。
では、「1週間」という期間を設定したとき、「いつから7日間か」ということは、ハッキリさせておかなければなりません。

例えば、民事訴訟において控訴ができる期間は、「判決書の送達を受けた日から2週間」です。

平成25年12月3日の昼3時ごろに、判決書の送達を受けた(郵便屋さんから受け取った)としましょう。

ここで、「送達を受けた12月3日から2週間(14日間)だから、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16日まで」と数えて、16日が経過したらもう控訴ができない!と考えてはいけません。
初日不算入の原則がありますので、3日は除いて、「4、5、6、・・・(略)・・・15、16、17日」と14日数え、17日までは控訴することができます。


まあ、わかり易くいうと、週単位で決めた場合、初日と同じ曜日の日が終期になります。
月単位でも同じですね。
「12月3日から1か月」と決めたら、終期は1月2日ではなく、1月3日になります(カレンダーで数えてみてください)。


ただし、午前0時ちょうどから始まる場合は、初日も算入します。
「平成25年1月1日午前0時から1年間」という期間は、平成25年12月31日で終わりです。


原則に例外はつきもので、この初日不算入の原則にも個別にはいくつか例外がありますので気を付けましょう(例えば、年齢の計算は初日算入です)。

では、今日はこの辺で。